ポケットマルシェ
P2P、つまりは特定の個人と個人を
結びつけるタイプの、いわゆる
プラットフォームビジネスが、
IT技術の進化に伴って色々と増えて
きている。
先般、ビザスクについてこちらの
エントリーでも書いた通りだ。
他にも探せば色々出て来るが、
是非今日紹介したいなと思った
のが、農家、畜産家、漁師と
いった一次産業従事者と、
消費者とを直接結びつけている
プラットフォーム。
その名も「ポケットマルシェ」、
略して「ポケマル」。
仲買人がいなければ流通しなかった
時代が終わり、ITがその機能を担う
ようなものだろう。
築地、いや今は豊洲になったが、
そういう市場を通さずに、
産地と消費者がダイレクトに
結びつくのである。
ポケマルが良さそうなのは、消費者
と生産者との対話を重視している
ところ。
心温まる交流が生まれることで、
消費者にとっては新鮮な食材の
味がより一層美味しさを増すに
違いないし、当然ながら
生産者の方々もやる気が出る。
今更な感想かもしれないが、
スマホ一つあれば、簡単に生産者と
つながれる時代が来たというのは、
冷静に考えればやはり画期的だなぁ
という気がする。
これも先日紹介した、堀江貴文さんが
気鋭の鮨職人たちと対談する本にも、
市場を通さずにネタを仕入れる大将が
出て来る。
ネタの質、鮮度などを極めようと
した結果、産直仕入れに行き着く
大将が少なくないようだ。
今や無理して早起きして市場の
競りに行くことなく、LINEで直接
漁師から買い付けてしまう鮨屋が
いるというのもまた、画期的である。
産地側の努力で、漁獲高低迷や
経費高騰、様々な問題を抱える中
で、自分たちの力で何とかしようと
努力の結果、P2P市場を切り開いた
ところもある。
2011年に、荒くれ者揃いの3つの
船団員をまとめる立場、つまりは
代表に就任した、坪内美佳氏が
率いる、山口県の萩大島船団丸が
それだ。
公式サイトもまだまだ手作り感が
残る感じだが、代表の坪内氏は
自ら切り込み隊長となってPRの
ために奔走。
最初は「どうせ無理だよ・・・・」
という雰囲気だった団員の心に、
自らの背中を見せつけることで
徐々に火を点けていったと聞く。
そして、「鮮魚ボックス」という商品を
開発し、直接消費者に新鮮な魚を届ける
ように仕組みを整えたのである。
農林水産省の推進する「6次産業化」
の認定事業となって俄然注目を浴び、
他の地域で同様の問題を抱える船団を
巻き込んだり、講演に呼ばれたりと、
全国を駆けずり回っているようだ。
ちなみに、聞き慣れない「6次産業」
という言葉。
農林水産業でいうと
1次:農業、漁業、畜産業、林業等
2次:食品加工業
3次:流通・販売業
という分類になる。
これらは教科書で習ったはずで、
頭の片隅にあるかもしれない。
6次ということは、4次や5次があるの
かと思ったら、さにあらず。
ウィキペディアからの引用だが、
なのだという。
なかなか洒落の利いた命名だが、
誤解されやすいのは少々気になる
ところ。
いずれの事業も、熱い思いを持って
何かを実現したい!という人が
圧倒的な行動量でもって道を切り
開いている、そんな印象を受ける。
それは鮨屋のオーナーたる鮨職人
だったり、プラットフォームを開発
した起業家だったり、漁師を束ねる
船団の代表だったりするのだが、
立場は違えど、その圧倒的な情熱、
そしてそれに裏付けされた行動量
こそが成功のカギを握っている
ように思えてならない。
素晴らしいアイデアは、そんな
「情熱×行動量」
を備えた人たちのところを選んで
舞い降りてくるのだろう。