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マーケターはルサンチマンを抱えさせる職業なのか

GW中の毎朝8時から10時に、
山口周著『武器になる哲学』
読書勉強会が催されている。

仕事もあるのでさすがに全て
出席というわけにはいかないが、
できる限り出席を試みている。

4日目の昨日、耳だけで最初の
1時間ほど参加したのだが、その際に
読み進めていたのが、かのニーチェ
提示した「ルサンチマン」なる概念を
解説している章。

その意味するところは、「嫉妬」
「劣等感」などが複雑に織り交ざった
感情である。
平たく言うと、「やっかみ」

氏は、ルサンチマンを抱えた個人が、
その状況を改善するために、
ルサンチマンの原因となる
①価値基準に隷属、服従する
②価値判断を転倒させる
という二つの反応を示す
と指摘する。

そして、これら二つの反応が、
自分たちが豊かな人生を送る上で
大きな阻害要因となり得る
との
認識を示した上で、それぞれに
事例を挙げながら考察していく。

①価値基準に隷属、服従する
の例として、周囲のみんなが高級
ブランドのバッグを持っているのに
自分だけ持っていないときに、
同格のブランドバッグを購入する
ことで、抱えたルサンチマンを解消
しようとする人が少なからずいる
ことを挙げる。

ここから、いわゆる高級ブランド
品が市場に提供している便益

「ルサンチマンの解消」であるとし、
ルサンチマンを生み出せば生み出す
ほど市場規模が拡大する
ゆえ、
ブランド側が「最新のモノ」を
常に市場に送り出すことによって
「古いモノ」の持ち主に巧妙に
ルサンチマンを抱えさせている

言うのだ。

もし一人でこれを読み進めていたら、
なるほどなるほど、そういうものか、
などと納得してしまったかもしれない
が、賛成、反対、様々な角度からの
意見が百出する
のがこの読書勉強会の
良いところ。

事例の中に出て来た高級ブランドや
高級車に対する違和感を多くの人が
感じたようで、そこを皮切りに
氏の論説に対する鋭いメスが入る。

高級ブランドのバッグを買う人が、
みんな「ルサンチマン」を抱えて
いるのだろうか?
彼らが一様に「ルサンチマンの解消」
を求めてなどいるのだろうか?

私自身も、議論には加われなかった
ものの、聞きながらとても違和感を
持っていたので、氏の議論自体が
ややマウンティング気味
だという
コンセンサスには思わず大きく頷く
ところとなった。

いわゆる「ブランディング」を
職務として全うしようとする

マーケターは、「罪作り」である

そのように氏に断罪されているかの
ように読めて、マーケターを生業とする
我が身にとっては何ともいたたまれない
気持ちになりかけたが、氏の論理にも
飛躍や穴がところどころあるという
ことが分かった。

もう少し読み込んで、
マーケターは「罪作り」という
氏の主張に対して、堂々と反論する
べく頭の中を整理したい。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。