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シュクメルリはなぜヒットしたか


恒例の日経MJによるヒット商品番付、
2020年の上期版が今週発表された。

ザッと眺めた中に、知らない単語が
あって焦る。
シュクメルリ・・・
うーん、聞いたことないぞ・・・
メルカリの兄弟か?
隣にいるのがケンタッキーだから、
何かの食べ物だろうか・・・?

それ以外はすべて分かったが、これ
だけは分からず、検索。
すると、ジョージア(旧グルジア)
料理、鶏肉とガーリックをクリーム
で煮込んだものだと判明した。
火を点けたのは、松屋だという。
ということで、松屋のサイトを拝見。

「シュクメルリ鍋定食」
なんと、松屋なのに790円もする。
もはや松屋ではない!という印象を
つい持ってしまったが、松屋から
火が点いたということは、こんな
価格帯であっても人気が爆発した
ということ、余程美味しいのかも
しれない。

ページを見て気付くことをいくつか
挙げておこう。
まず、最初は限定店舗で小規模に
展開したことが分かる。

「限定店舗で販売していたら!
 2万件超の声を受け、
 全国展開が決定」

といううたい文句が並んでいる。

ジョージア料理という、極めて
マイナーなジャンル。
シュクメルリという、まるで
暗号のような名前。
いずれも、普通にやったら売れない、
売りにくいという印象だ。
きっと松屋のマネジメントもそう
思ったに違いない。
だからこそ、最初は限定店舗で、
小さくテストをするところから
スタートした。

テストマーケティングを最初に
小規模で展開し、上手く行ったら
段階的に大きくしていく、という
のは食品系のマーケティングでは
定石とも言える。
しかし、このシュクメルリなる
料理をテストマーケティングの
舞台に乗せるのには、それなりに
大変な苦労があったのではないか
と推測される。
よほど、担当者が味に自信を持って
いたとか、思い入れがあったという
ことなのではないかと思うのだが、
実際は定かではない。

実際にテストをやってみたら、
「2万件超」
もの反響があったというところから、
成功への手ごたえをつかんだという
ことも読み取れる。
2万件が多いのか少ないのか、
これは間違いなく多いだろう。
消費者がわざわざ重い腰を上げて、
定番化して欲しいという声を、
ハガキを書くなどの手間をかけて
会社に届けたという事実は重い。
彼らは極めて合理的に行動し、
極力面倒なことは避けるものだ。
余程自分にメリットが感じられ
ない限り、会社側が思うようには
動いてもらえないもの。
ないところ。
この反響を確認した時点で、
松屋の担当者は大ヒットを確信
したに違いない。

この「シュクメルリ」のセールス
ポイントは、
「世界一にんにくをおいしく
 食べるための料理」
というところ。
何と言っても「世界一」である。
本当かどうか、多分に主観による
だろうし、松屋も
「世界一・・・とも称されている」
とその辺はぼかしている。
何だかよく分からないけど、世界一
なら食べてみようかな、という気に
させるというものだ。

そして、きっと味には絶対の自信を
もって投入したに違いないのである。
だからこそ「2万人超」のお客様から
声が集まったのだろう。
テストをした時の反響が良ければ、
その反響そのものを販売促進時の
メッセージの一要素として上手く
活用できる点は、リスクを抑えると
いうメリットと合わせて、テスト
マーケティングの大きなメリットで
ある。

丁度コロナの騒ぎが始まる少し前、
残念ながら自分のアンテナに引っ
掛けることが出来ず、食べるのを
逃してしまった。
夏場には熱そうなので、秋が来たら
自宅で作ってみたい。



己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。