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ゴディバジャパンの社長が語るビジネスに対する姿勢

しばらく前のことになるが、
ゴディバの日本法人で社長を務める
ジェローム・シュシャン氏の
『ターゲット』
という本を読んだことがある。

本棚を整理していたら出て来た
この本を、久々にパラパラと
斜め読みしてみた。

シュシャン社長は、フランス人。
しかし、その辺の日本人よりも
日本精神のことを分かっている
お方である。
というのも、社長は弓道の達人。
国際弓道連盟の理事という顔を
持っているのだ。

上記のアマゾンのリンクでは
分かりにくいが、下の方にある
小さなアイコン、これは社長が
袴姿で弓道の弓を引いている姿を
アイコン化したもの。
私が買ったものには、リアルな
写真の入った帯が付いているので
逆にこのアイコンは隠れていて、
今初めて気付いた。

この本は、社長が弓道から学んだ
「正射必中」の考え方を、
実際にビジネスに応用して結果を
出してきたことが書かれている。

「正射必中」とは、
正しく射れば、必ず中(あた)る、
という意味。
要は、正しいプロセス、ステップを
踏むことで、確実に成果を得ること
ができますよ、ということ。

この「正しいプロセス」が何なのか、
そこを外すと元も子もないわけだが、
現状認識を正しく行い、目指すべき
的=ゴールをしっかりと見据え、
どうすれば的を射抜くことができる
のか、その構造を理解する。
そして、その理解に基づいて、
正確にプロセスを踏めば、確実に
的を射抜けるという考え方である。

氏は実際に、スペインの高級陶器人形
ブランドであるリヤドロの日本法人で
大きな成果を収め、ゴディバに移って
からも5年間で売上を2倍にするという
華々しい成果をあげている。

「正射必中」と併せて、「正射正中」
という言葉も紹介されている。
氏によれば、「正射正中」とは
正しい心、正しい姿勢で的に向かい、
矢を当てなければならない、という
意味であるそうだ。
偶然当たってもダメですよ、正しい
心と姿勢がなければそれは「弓道」
とは言えませんよ、そんな考え方
らしい。

これは、正にマーケティングの
正しいあり方そのものだな、
そんな風に解釈をした。
ともすると、お客様に提供する商品
作りやサービス提供において、
「まぁこんなもんでいいか」
という気持ちで対応してしまう
ことがある人もいるだろう。
あるいは、もっとひどいと
「これを売りつけてやろう」
なんて邪な考えを持つ人が実際に
いないわけではない。

こうした「やり方」「あり方」は、
しかしながら長続きはしない。
悪い噂はすぐに広まるし、
そもそもお客様は賢いものだ。
騙されてしまう人もいる一方で、
しっかりと本質を見抜くお客様が
確実に存在している。

そういうお客様に喜んでもらえる
ように、正しい心で以て、そして
「買っていただく」という姿勢で
商品を世の中に出していく。
それこそ「買わせる」的なセリング
の考え方とは一線を画す、
マーケティングの考え方そのもの
なのである。
思ったのだ。

氏のリーダーシップで、ゴディバ
は業績好調だったわけだが、
1年強前に、日本法人が大半を占める
アジア事業がベルギーの本社から
MBKという投資ファンドに売却された。

投資ファンドなので、数年のうちに
更に価値を高めて売り抜けることを
考えているだろう。
今後の動きが気になるところである。


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