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グラフィックファシリテーションの教科書

グラフィックファシリテーション
通称「グラファシ」
グラフィック=絵の力を使って、
会議などの場における状況を
「見える化」し、対話を促す
ツール
である。

この「グラファシ」の、
日本における第一人者である
山田夏子さん(なっちゃん)が、
この度かんき出版さんより、
グラファシの教科書を出版された。

何と、帯には、ベストセラー作家
山口周氏の推薦が!
グラファシのことを、なんと
「現代の魔法」
という言葉で持ち上げている。

グラファシを含む、会議などの場で
話されていることの可視化を行う
ことを、英語圏では「スクライビング」
と呼んでおり、その第一人者である
ケルビー・バードさんの著書が昨年
英治出版から出た際には、感想を
こちらのnoteで書かせてもらった。

『場から未来を描き出す』という
バードさんの著書は、概念がかなり
抽象的だったり、描かれている絵が
かなりアーティスティックだった
こともあり、ややとっつきにくい
印象がなくもない。

その点、今回の夏子さんの本は、
「教科書」だけあって、抽象から
具体まで
幅広く取り扱われており、
しかも内容がとても分かりやすい。
描かれている絵も、非常に親しみ
やすく、半ばマンガを読んでいる
ような感覚
でスイスイと読み進む
ことができる。

だからと言って、内容が薄いと
いうことでは全くなく、
組織開発の専門家として活躍
されている方らしい、
コミュニケーションの本質を
突いた、極めてレベルの高い
内容
である。

特に興味深かったのが、
「目的」
「目標」
「ゴール」
「パーパス」
「ビジョン」

といった言葉たちを整理した
第3章の後の特別レッスン。

私は私なりに、これまでの社会人
経験で学んできたこと、教わって
きたことを踏まえて、それぞれの
言葉の定義を持っている。
しかしながら、同じ言葉が、
他の人にとってはニュアンスが
微妙に異なる
、というのは
「組織あるある」と言って良い。

なので、夏子さんの定義と私の
それが違っているのは、もちろん
想定の範囲内ではあるのだが、
これらの概念を活火山の地上部分と
地下部分とに分け、見事に一枚の
絵(67頁)で整理をしている
のを
見て、ある種の感動を覚えたのだ。

著作権があると思うので、絵の
引用は控えるが、自分がこれまで
使ってきた定義を修正しようと
思うほどに非常に明快かつ深い
説明がなされている。

言葉だけで簡単に説明しておくと、
彼女は、

「目的=パーパス=存在意義」

とした上で、これらを「目に見えない」
つまり火山帯の地下にたまっている
マグマのようなものとして表現
して
いる。
そして、そのマグマが、山の頂上から
噴き出そうとしているところ、
そこが「目に見える」ゴールとなって
いるのだ。

確かに、企業の存在意義というのは、
その辺に転がっていていつでも見る
ことができるようなものではない。
創業者だったり、経営者だったり、
あるいは組織の構成員が話し合って、
声に出し、書き出すことでようやく
表出化するもの


よく、目的のことを「北極星」
たとえ、どんなに頑張ってもたどり
着くことは難しいが、そちらの方へ
進んでいけばよいのだという
「羅針盤」のような役割を担う、
そんな説明をする。
「北極星」なので、夜晴れてさえ
いれば常に見ることができるわけ
だが、これが「地下マグマ」となる
と、基本的に目に見えない。

目に見えないからこそ、常に
目に見える状態にするべく、
可視化するツールを使うなり、
コミュニケーションを絶やさない
ようにする必要がある。

そんなことを考えさせる効果の
ある定義であり、ものの見方だなと
いうことで、非常に感じ入ったの
だった。

これ以外にも、「教科書」ゆえに
超具体的なグラファシの進め方、
道具の選び方や使い方、
描き方のポイントなど、
本当に網羅的に扱っている。
そして、それらがすべて、
過去の何らかの実践や、
根拠のある理論に基づいて
いるところも流石。

チームビルディング、
組織開発などの分野で、
行き詰まりを感じている人が
いたら、是非手に取ってみて
いただきたい。

※写真は、先週行われた出版記念
ウェビナーの一コマ。
夏子さん、おゆみさん、
お疲れ様でした!
ありがとうございました!


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。