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「10%増量中」はどれほど効果的か

つい先ほど、湯船につかりながら
今日の疲れを癒していたときに、
バスクリンのパッケージが目に
飛び込んできた。
一番左上の目立つところに、
「10%増量中」
とある。

私が買ったか、家人が買ったか、
覚えていないが、まぁそれは
どちらでもよい。
この「10%」という微妙なライン、
どこまで消費者の心に火を点ける
ことができるのだろうか?
そんな疑問が湧いてきたのだ。

かつては、
「20%増量」
「30%増量」
が当たり前にあったような気が
する。
しかし、最近の日用品ではこの
「10%増量」が、かなり標準的な
パターンであると見ている。
ドラッグストアを定期的に買い物
で訪れ、実際に購入することも
多いので、間違いないはずだ。

あくまでも私の推測でしかないが、
多くの日用品カテゴリーにおいて、
「10%増量」を実施すれば、
10~20%位の売上数量増が見込める
のではなかろうか。
これが仮に「20%増量」だとすると、
30~50%位の増になると予測する。
但し、いずれも1週間とか2週間と
いうように期間を区切らないと、
ジリジリ増加分は下がっていって
しまう。
この期間は、その商品の購入サイクル
次第で変わってくるため、一概にどの
程度ということは言いにくい。

この手の「増量キャンペーン」を
やるには、当然コストがかかる。
まず、当然ながら、原料費が10%分
上乗せされる。
しかし、そもそも消費者が支払う
価格に対する原料費の割合がそれ程
大きくないことが多いので、これは
大した金額ではないはずだ。
それこそ20%でも30%でも、負担は
重くないだろう。

その他の費用、殊にパッケージの
デザインを変える、20%以上の増量
だと恐らく大きさも変える、そう
なると輸送時の段ボールなども変更
が必要になり、あれこれ資材費が
追加でかかってくることになる。
そして、それらを実行する担当者
たちの人件費も、当然上乗せとなる。

これはあくまで仮説だが、10%程度
であれば、元々の容器包装で十分に
収容可能なケースがほとんどのはず
なので、パッケージサイズや段ボール
サイズを変える必要のない10%増量
にあえてとどめて販促を打っている
のではなかろうか?

会社によって、こういった販促を行う
際に、事細かにシミュレーションを
求める場合もあれば、かなり適当に
それこそ「ノリと勢い」で進める場合
もある。
しかし、販促をやるからには、
純増利益が得られるものにしない限り
意味がないわけで、人手を含む資源を
使うだけ使って赤字でしたでは、基本
的には許されない。

つまり、単純な話で、

[増量で増える利益]-[その増量にかかるコスト]= プラス

となる必要があるということ。
そして、10%の場合と20%の場合とで、
プラスの値にほとんど差がないか、
あるいは10%の方がむしろ高いから、
今のように「10%増量」ばかりが
生き残っているのだろう。

実際にメーカーでこういう増量企画を
されている人が、どんな仮説、どんな
シミュレーションに基づいて企画実施
にこぎつけているのか、機会あれば
是非お話を伺ってみたいものだ。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。