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6歳児「ママに怒られたからばあちゃん家まで走ってく❗️」

6歳。

オネショをした。

ウンコも漏らしたのかも。

まぁ兎にも角にも

ショにもウンにも

その日、ママに怒られた。

現在では大人しいモノだが当時、母は色々と相当苛烈な状態であり、すぐ子供の頭を叩く親だった。

頭を叩かれた。

そして泣き喚いた。

今もそうだが、私は泣きやすいタチでまぁよく泣いた。

そして

「ばあちゃんが◼️◼️◼️◼️❗️❗️❗️」

おばあちゃんがどうとか言われた。

多分、祖母がこれから来るのにお漏らしして恥ずかしくないのか的な意味合いだったのだろうが、幼い上に泣きじゃくってた私には『おばあちゃん』という単語しか聞き取れていなかった。

そしてこう思った。

(おばあちゃんちいかなきゃ❗️)

と。

何故か?

それは当の本人である私にすら分からない。

ともあれ当時、泣きながら私はそう思ってしまった。

3キロ以上離れた
祖母の家に行かねばならぬ

と。

泣きながら当時住んでいたマンションの一室を飛び出す。

母が怒鳴っていた気がするが聞こえちゃいない。

そして7階に住んでいたので降りる為にエレベーターの場所へと走る。

その瞬間、その当の祖母がエレベーターから降りてき

「あれ?なに泣いてどうし…

と言いかけるも即座にエレベーターに乗り込み閉ボタンを押す。

祖母と会う為に祖母の家に行くのではない。

祖母の家に行く為に祖母の家に行くからである。

そしてエレベーターが閉まると1階ボタンを押す。

ちなみに

人生初の1人エレベーターである。

1階に降りるとそのまま走ってマンションの外に出る。

そこから先は朧気だが、おそらくは母に度々連れられた公園の方向へと向かってとにかく走った。

ちなみに

人生初の1人外出である。

走り続け、マンションから数百m先の離れた公園を越え

車が走るほぼ道路の川沿いの田舎道

を走っていく。

おばあちゃん家へ向かう際、車で向かうルートしか知らないので当然と言えば当然である。

しばらく走るとなんとなく疲れる感覚はあったが

テレビで観たマラソン選手のマネ

をしたらなんか大丈夫だった。

そしてゴリゴリの道路なので度々信号に当たったが

アンパンマンのおやくそくビデオを
数日前に観て信号のルールを覚えた

ので大丈夫だった。

そして全然歩行者が通る事を想定していない道を6歳児の身で走り抜け、遂におばあちゃん家のすぐ近くまで辿り着いた。

3キロ全力疾走。

道程が滅茶苦茶なのでもう少し長いかも知れない。

3キロ走るなぞ29歳の今でも全然キツい。

むしろ今だからキツいのか?

6歳の私にはどうだったのだろうか?

キツかった覚えはないので大丈夫だったんだろうか?

まぁとにかく数多の信号を

あかはあぶない
きいろはちゅうい
あおがわたれだよ

のアンパンマンの言葉でもって乗り越えた。

後は坂を少し坂を降ればおばあちゃん家である。

しかし

ここで迷った。
ここに来て迷った。

おそらくは車で来る際、祖母の家の地区の似た様な住宅が並ぶエリアを通るのでそこで混乱したのだと思う。

行った道を戻ってまた行き、やっぱり戻り別の道へ。

本来のルートから少し外れ、見覚えのある様なない様な場所を走る。

まぁとにかく何処かへ走らなければならない。

おばあちゃん家はすぐそこだと。

そう思っていたので直感で走っていると

一台の車が眼前で止まった。

緊張が走る。

児童への犯罪とかは理解していなかったが、

眼前で車が止まるという
経験そのものが初だったので

警戒していた。

そして扉が開き、

「あれ?1人?ママは?え?1人?」

祖父が降りてきた。

祖父の車だった。

あ、じいちゃん?

後に聞いた所によると

まったくの偶然

仕事帰りに1人迷走独走する私を見かけたのだと言う。

帰り際、突然家の近くに孫が現れ、そして

ばあちゃん家行こうと思ってん

としか言わない孫を車に乗せた祖父は私を3.3キロ離れたマンションへと送り届けた。

祖父は何度も1人で来たのか?と聞き、その度に

うん。

と答えた。

車内では北島三郎の演歌が流れていた。

マンションの部屋に帰ると母に抱き付いた。

少し冒険をしたので不安だったのだろうか?

いや、単に疲れて眠たかっただけか?

とにかくその先の記憶はない。

怒られようにもどう考えても問い詰められるのは母の方なので少なくとも叩かれはしなかったのかも知れない。

いや?抱き付いた瞬間叩かれたか?

まぁともかくママに怒られてばあちゃん家まで行こうとした未就学児の話はこれで終わった。

しかし、この冒険は少なくとも私を構成する1つであり、親戚一同が集まった際には話題に上がる小話となった。

ありがとう
アンパンマン

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