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アメリカで忘れ物して戻ってきた話

それは初めて一人でサンフランシスコに行く時でした。

少し緊張しながらバスに乗り、ふと帽子をとった時に、いつもならリュックに入れる流れのところ、

たまたま、ふと、入れなかったために。

帽子がないことに気が付いたのは、サンフランシスコについてからしばらくでした。

道端を歩いていた私は、カリフォルニアの日光の強さにあっさり負けて、
リュックのファスナーを開けて探したときに、

いつもならあるはずの帽子が

ありませんでした。

え?え?

どうして?本当に??

道中でごそごそして、いくらごそごそしても見つからない。

そして私は自分の記憶をたどり、おそらくバスの中に置いてきたことを推測しました。

そして選択肢が浮かんできました。

1.このまま泣き寝入りするか

2.バス会社に問い合わせるか


ふつうに考えたら、海外でなくした荷物が出てくるのは稀で、探すにしても英語力と交渉力が必要なので、あきらめる方も多いと思います。

しかし私は、超テンパりながらも

2.バス会社に問い合わせる

を選択しました。

私はググって、海外のバスで忘れ物をした方のブログを見つけました。そして、その方がバス会社に問い合わせて、荷物が返ってきた話を読んで、勇気をもらうことができ、これしかねぇ!と思ってバス会社のホームページをチェック、どうやら、電話で問い合わせするしかないことがわかりました。

電話か・・・英語で電話で会話する難しさは、死ぬほど理解しているので、猛烈に逃げたい気持ちになりましたが、私は自分の気持ちを押し込んで電話を掛けました。

わ、わたしは日本人なので、英語が得意でありません。もしわからないことを言っていたら、教えてください

という前置きを伝えながら、私はネイティブの担当者と話しました。
途中、単語はわかるけど、センテンス全体で何を言っているのかがわからなくて、3回ほど聞き直して恥をかき、こっそり傷つきましたが、どうやらまだ見つかってないことがわかったので、明日の朝、かけなおすというアクションをすればいいことまで話を進めることができました。

大した英語力でもないのに、度胸で挑戦し、ここまでできれば大したものじゃない、とは後々主人は言ってくれましたが、

この時の私は猛烈にうなだれていました。

帽子をなくした罪悪感、公開、自分に対しての失意の気持ちで、一気に体が重く感じました。それでも、せっかく来たのだからと、重い体を引きずるようにサンフランシスコを歩き出しました。

とりあえず、ベーグル好きな方のおすすめのベーグル屋さんでサンドを頼みました。しかし、気持ち的にあまり喉を通らず、残してしまいました。

チャイナタウンで、きらびやかで怪しい金のなる木のモニュメントに少し心揺さぶられても、私の心は晴れませんでした。

そして、ずっと行きたかったサンフランシスコの聖ピーター&ポール教会にたどり着きました。

近所に欲しい教会⛪️

教会はこじんまりとしていましたが、クラシックで神秘的な雰囲気で、心がシン、と静かになるのを感じました。

そして私は椅子に座り、静かに目を閉じて瞑想し始めました。
そんな時に限って、教会内の後ろ側で掃除機をかけていて、
うるせーなぁとは思っていましたが、ほどなく掃除機の音はフェードアウトしました。

私はその場で1時間ほど瞑想しました。

教会という場所の特性なのか、帽子をなくした失意の感情も抑えられるぐらい、スッと自分に集中ができました。毎日瞑想してても、この状態に入れるのは貴重な経験で、ありがたさと静かな心地よさを感じました。

満足して教会を後にし、近くのスイーツ屋さんでクッキーを何枚か買いました。10枚で7ドルぐらいしましたが、残念ながらおいしくなくて、、、
私はまた気落ちしながら帰り道につきました。

帰りの電車では、Amazonで次の帽子の候補を探していました。
すぐに必要、というよりは、喪失感と罪悪感などのボコボコした気持ちを埋めるためでした。

そして、バスに乗り換え、帰る時に、ふと、バスの表札を見ると、行きに乗ったバスの番号、行先のバスでした。
私はそのバスに乗り込み、行きのバスに乗った時と同じ位置に座りました。

その時、ふと、足元の床を覗き見ました。何気なく。

すると


ありました。



行きのバスで置いてきた帽子があったのです!!

ちょっと汚くなってた

私は帽子を拾い上げ、全体を見て、自分の帽子か確認しました。
ああ、私のだ。ああ、よかった!でもこんなことってあるんだ、

こんなことが


心の中がパレードになったので、思わず仕事中の主人に、帽子が見つかったことを報告しました。
主人にしてみれば、帽子がなくなったー!!あったー!!とか、人騒がせな話だと思います。申し訳ないことをしました。

でも、よかったね、と言ってもらえました。

私は、過去にオーストラリアで財布をバスに置いてきて、バス会社に連絡して戻ってきたり、ドイツのホテルにデジカメを忘れて、帰国後に現地のホテルの人に送付してもらったり、
日本でも財布を2回落として、スマホも駅で落としているのですが、

のらりくらり優しい人に救われてすべて帰ってきているので、

自分があきらめない限り、忘れ物は国内にいようが海外にいようが大体なんとなかる。という人様に言いにくい持論があります。

ですが、今回ばかりは、ちょっと驚きました。
朝なくして、夕方ちゃんと帰ってきましたみたいなのは初めてで、
教会に行って瞑想して、一時的に神様と同じ存在になったせいなのかわかりませんが、

オージーザス!!


と、生まれて初めて心の中で叫ぶくらい、
頭を何かに打たれた気がしました。

そして、見えない何かに守られたことに感謝したのでした。

何かあったらあの教会にまた行こう。そんな気になりました。



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