祖父の事を少し語らせて下さい
時々思い返す。
もう亡くなってしまった祖父の事を。
彼はとても寡黙な人だった。あまりにも話さないものだから、話すのが苦手なのかと思うくらい。ただ静かにそこに居た。
農作業しているか、車の運転をしているか、髭を剃っているか、新聞を読んでいるか位しか見た事が無い祖父に、子供の頃「お腹すいた~」って甘えてみたことがある。
祖父は黙って台所に立ち、インスタントのラーメンを作ってくれた。
普段料理なんてしない祖父が作ったそのラーメンの貴重さに、当時私は感動した。
そしてそのインスタントラーメンは、他のどんなラーメンより格別に美味しかった。
それから数十年の時を経て、祖父は亡くなった。
祖父が亡くなってからしばらくして、父から「祖父は本当は学校の先生になりたかったんだ」と聞かされた。
「長男だったから農業を継いだけれど、お前(父)には好きな事をして欲しい」って言ってくれたんだ。そう父は言った。
え・・・。
何故だか急に、ものすごく申し訳ない気持ちになった。
家業を継ぐのが一般的だった時代だし、今より寛容な考えは受け入れられていない時代だったから、抗っても詮無き事だったかも知れないけれど。
「本当は学校の先生になりたかった」。寡黙な祖父にそんな夢があったなんて。
もう少し早く聞きたかったな。そしてもっと祖父と話せばよかった。
普段の生活で何を思って、何を感じていたか。やっぱり残念だったか、はたまた幸せだったか。
私は孫として、祖父に何かできただろうか。
そんなこと今更思っても、らちが明かない事は重々承知だけれど、ふとした瞬間に思ってしまう。
そして今、私はなんて恵まれた環境、時代を生きているんだろうとも思った。
家業を継げなんて誰も言わないし、自由にさせてもらってる。
だから私がやりたいと思った事は、やってみたいと思う。
自分自身を愛し、あふれた愛で周りの人に還元しようと思う。
ご縁があって私を大事に思ってくれている人を大事にし、どんな媒体であれ私という人間を見つけてくれた人の心が、自然とほっこりしちゃうくらいの愛を色々な形で届けようと思う。
自分の感じ方を羅針盤にし、自分の心に忠実に、この世界を思う存分楽しもうと思う。
おじいちゃん。今、私はそんな事を思ってるよ。
だからもし、死後の世界であなたと会えたなら、黙って頭を撫でて欲しいな。
それまでは、自分の心に従って、この世界を楽しむね。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
私事で恐縮ですが、前回の記事でおじいさんの絵を描いたら、ふと祖父の事を思い出したので記事にしました。
写真は一昨年位の桜です。空の青とのコントラストが美しいです。
早く春、こないかな・・・。冬さん涙目😂
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
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