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顕微鏡と双眼鏡

ぼくから学んでくれるボディワーカー、トレーナー、セラピスト(治療家)の方々には「顕微鏡と双眼鏡の2つを行き来しながら、クライアントを評価しようね」とお伝えしています。

ボディワーカーとセラピストの傾向の違い

傾向として、ボディワーカーはクライアントの全体をフワッと捉えるのが得意です。反対に、セラピスト(治療家)はクライアント(患者)の細部を捉えるのが得意です。当然どちらも必要な視点ですので、良いボディワーカーになるには、行き来できる観察力を持つ必要があります。

できる範囲で

病院などで勤務されていたり、マッサージセラピストとして働かれている場合だと「この患者は、肩に対しての保険適応なので...」だったり、「フットマッサージコースをお客様は選ばれたので...」といったこともあり得るでしょう。ただそういった場合でも、心の中に「その人全体を同時に捉える(全体観を持つ)」気持ちを持つだけで、セッションやレッスン、治療のクオリティは大きく向上するでしょう。

心がけ、意識を持つだけでいい

もちろん、「私はヨガ(ピラティス)のインストラクターであって、治療家ではないから」と自分の可能性を決めつけず、ヨガやピラティスのレッスンをしながらも治療家的な視点、「この人の抱える悩み(痛み)の原因はどこにあるのか」など推理しながらレッスンができるといいですね。それが個人セッション(レッスン)であれ、グループレッスンであれ、どちらであってもです。その意識が、セッション(レッスン)をより素晴らしいものに引き上げてくれるはずです。

生き方、自分自身に対しても

また、自分自身の健康や人生を捉える際にも、双眼鏡と顕微鏡とどちらの視点も持つべきです。もう少し別の言い方をすれば、君がサッカー選手として、目の前の対戦相手だったり、ボールを捉える目線と、君がグラウンドの中にいる君とチームメイトと対戦相手と監督だったりコーチだったり、観客がすべて網羅的に捉えられる視点(鳥の目、俯瞰的、メタ認知)の2つの視点を持つといいのです。僕たちはどちらかの視点に偏りがちになります。また、このnoteを読んでくださっている方にはおられないでしょうが、まったく片方(メタ認知)の視点が持てないという人たちもいます。どちらも持ち合わせていること、行き来できることが理想的です。

最近は、社会が不安定さを増しています。世界情勢に目を向けて心を痛めている人、ショックを受けている人もいるでしょう。でも、ウクライナの人たちのことを想って心を痛めながら、目の前にいる家族、友人、恋人を大切にしていなかったり、傷けてしまっていては洒落になりません。実際、世界平和を謳う活動をしながら、家族に暴力を振るっていたなんて人もいたりします。

政治だったり、経済だったり、スケールの大きな問題に関心を持ち始めている時は、「もっともっと小さな単位のことを、自分は軽んじてはいないだろうか」。そう自分に問いかける習慣を持つことを、ぼくは君に提案したいと思います。すべては、バランスなのです。ぼくも当然、社会情勢に関心を持っていますが、同時に「(自分自身の)片側の距骨下関節がうまく動かなくなっているなあ」などと、そんなことをつい数時間前は考えていました。

地球という全体と、その中に生きるぼくたちの更に一部である特定の身体の部分と。例えば、そういった行き来ができることが、特にこれからの時代には必要なのだと考えています。

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