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死なばもろとも ガーシー(東谷義和) レビュー

ガーシーの死なばもろともの本を読んだので、読んで色々思ったので、簡単にまとめてみました。

以下本文。

この本は、東谷義和(以下、ガーシー)という人物が自己の成り立ちと自己の正義について語った本である。

彼を簡単に要約すると
・自分に非があった
・権力者(Youtuber)に撃ち落とされた
・周りの権力者にもトカゲの尻尾切りにされた
・権力者への復讐
と言った所だろう。

この本を読んで思った事は以下の通りである

・追放系の主人公
・革命の序章

一つ一つ語っていきたい。

追放系の主人公

近年異世界転生系のアニメが流行っており、現実世界でうまくいかない主人公が異世界に飛ばされ、異世界で簡単に富名声を得るというような話であるが、最近では追放系が流行っている。
内容を要約すると、コツコツ頑張ってきたがその頑張りが認められずに、仲間から追放される。しかし、実はその主人公はパーティ内で物凄い働きをしていて、仲間達は追放したことを後悔して、謝りにくるが、もう遅い、といって無双するというような感じである。

異世界系が簡単に富名声を得るという話だったのが、だんだん攻撃的な内容になってきた。そして、それが支持されているのは知っていたのだが、まさか、ガーシー誕生を示唆していたとは気づけなかった。

彼は、「アテンダー」と呼ばれるいわば、物事がスムーズに進むような調整役をプロ意識を持ってやっていた。しかし、彼の「ギャンブル依存症」という病が発症してしまい、全てを失うどころか、Youtuberから攻撃され、あってはならない家族まで攻撃されることになってしまった。そして、彼は「アテンダー」という仕事で培った力を使って、追放系の主人公なみの復讐劇を繰り広げている。

革命の序章

革命というのは、大体不満からスタートする。
フランス革命も腹を空かせた市民が裕福に暮らす貴族に対する不満から始まった運動である。
現在の日本の場合、まだ市民は腹を空かせる段階ではないので、暴動レベルには達ないが、これから先、日本の配給事情がどうなるかわからない。もし、権力者達が国家運用をミスって、市民が飢えに苦しむことになったら、日本でも間違いなく暴動は起こるだろう。
そのくらい、我々市民は現代社会に碧碧としており、不満が溜め込まれている。

そんな中、彼は本文中で、「老害」について言及している。

なんの生産性もないくせに、権力だけ持ちやがって
日本のためにさっさと引退しろ
というような趣旨の主張をしている。

そして、ガーシーというのは一人のYoutuber活動ではなく、日本の不満を具現化させた現象という風に語っていた。

ところで、給料は万病の薬と言われている。
金さえあれば人々は特に不満を抱く事はない。

しかし、現代の給料事情は苦しくなっている

給料が横ばいにも関わらず、物価は上がっている。
そして、市民の暮らしが徐々に苦しくなっているにも関わらず、SNSのおかげで貧富の差が可視化されてしまっている。
人は貧乏なのは耐えれるが、自分だけ貧乏というのは耐えられない。
不満を持ち始める。

この流れは非常によろしくない。

第二次世界大戦にナチスという怪物は、ユダヤ人という不満を利用してヒトラーが名声を獲得して生まれた。

今現在、ガーシーが権力者を暴露という暴力を用いて吊し上げて名声を獲得しているという流れは、なんとなくヒトラーを彷彿させるような流れに見えるのは私だけだろうか。

ガーシーは、作中で自分のことを「悪党」と語っていた。
悪と正義に関するこんな名言がある。

主人公:
ねぇ博士、正義や悪ってなんなんでしょう?
レッドが悪い奴だと思うから野球で勝負して追い出したんです。
でもあいつのおかげでチームは強くなったし甲子園にも行けるようになった。
俺のやったことは正義なのか、それとも悪なんでしょうか?
黒野博士:
ああ、そりゃ簡単なことじゃ。
“正義”の反対はなんじゃな?
主人公:
悪じゃないんですか?
黒野博士:
悪の反対は善、善の反対は悪じゃ。正義の反対は、別の“正義”あるいは“慈悲・寛容”なんじゃ。
正義とは、人の従わねばならん道理を言う。”正義を行う”となれば、道理を守らせることにもなる。
主人公:
それはいいことなんですか?
黒野博士:
それは必要なことじゃが、問題は道理が一つでないことじゃ。
“殺すな・奪うな”までは殆どの思想で共通じゃが、その先はバラバラじゃ。
“男女は平等”かもしれんし、“女性は守るべきもの”かもしれん。
“どんな命令にも従う”が正義なら、“悪い命令に逆らう”のもまた正義。
主人公:
じゃあ、なにが正しいんですか?
黒野博士:
みんな正しいんじゃよ。道理に関する限り、正しい事は一つと限らないんじゃ。
主人公:
でも、それじゃ困りますよ。なにが正しいのかわからない!
黒野博士:
だから”法”がある。なにをしてはいかんかの約束じゃ。
・・・これも正しいとは限らんがね。
じゃから、結局のところはその時ごとになにが正しいのかよく考える必要があるじゃろうな。
結局のところ、みんなにとって最も良い事を探して選択するのが”善”なんじゃろう。
じゃから、正義は善と限らん。ともすれば自分の信じる道理を他人に押し付けることになるからな。
主人公:
・・・よくわかりません。
黒野博士:
じゃあ、最初の質問に戻ろう。
やらなきゃならんと思ったからやったんじゃろう?
本当にそれが正しかったのか、最善のやり方だったのか、ときどき反省してみるんじゃな。
いずれ、自分で納得できる時が来る。
主人公:
・・・はぁ。
じゃあ、悪って何なんです?
黒野博士:
一般的な定義から言うと、世の中のルールを破って他に迷惑をかける行為じゃな。
主人公:
でも、博士は”悪”なんですよね?
どうしてわざわざそんなものをやってるんですか?
黒野博士:
わははは、一般的と言ったじゃろ?
ワシにとって、悪はロマンなんじゃよ。ロマン。
わかるか?
ルールにとらわれないことじゃ!
希望、生命力、突破点、新しいもの。
幸せになりたいという欲望!
昔は、”科学”も”自由”も”人権”も”平等”もみーんな”世の中の平和をみだす悪”じゃったんじゃよ。
主人公:まさか!
黒野博士:
なーに、ちょこっと歴史の本を読めばわかることじゃよ。
それじゃあな、少年! 若いうちは悩んでおけよ!

フランス革命は、「自由」という「正義」の名の下にいくつもの罪が生まれた。

もし今回革命が起こるのであれば、
権力者も我々も皆「平等」というテーマが「正義」となり、市民が暴走し、いくつもの罪が生まれるのかもしれない。
そんなことないと信じたいが、、、

しかし、最後に間違いなく言えるのは、
ウクライナ戦争をはじめとして、今生きている時代は紛れもなく歴史の1ページである。そして日本でも、日本史の教科書にのるレベルのようなことが起きるのではないかと思わせてくれるようなそんな感想を抱かしてくれる本でありました。


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