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「非」北欧生活|04. 心まで温まる靴下の話

このプロジェクトを初めてから、自分の暮らしや生活のフィンランド的な部分を色々意識し始めた。あまり気にしたことなかったけど、実はフィンランド文化だったなぁ、みたいなところがいくつか見えた。今回は靴下の話をしようと思う。

日本ではそれほど馴染みのない、villasukka(ヴィッラスッカ)毛糸の靴下。子供の頃から今まで、冬を乗り越えるための必須アイテムとして愛用してきた。少し調べたら、ルームソックスとして日本の編み物サイトなどに載っているのをよく見かける。確かに、家でスリッパ代わりに履くものでもあるが、ただのルームソックスではない話をしたい。

① 室内で
日本と同じように、フィンランドでは玄関があり、家に入る前には絶対に靴を脱ぐ。足を冷たい床から守るために、スリッパを履く人もいるが、毛糸の靴下の方が一般的かもしれない。学校のロッカーに専用の靴下を入れ、靴代わりに履くこともあった。中学校から土足制だったので、しばらく履けば足裏が真っ黒になっていたな…

② 靴の中に
ぼくは手足がめちゃくちゃに冷えやすい。子供の頃の冬は、外で遊んで、足指を白くして帰ることがよくあった。感覚がなくなるまで冷えた指がじわじわと温まってくる痛みは、東京で生まれて暮らしている人には分かるだろうか。少なくともぼくは、フィンランドに住んでいた頃以来は経験していない。
フィンランド語にはsukkavara、スッカヴァラ(直訳:靴下余裕)という言葉がある。冬物の靴を買うときに、毛糸などの厚みのある靴下が入るように普段より大きいサイズの靴を買う時に使う。「スッカヴァラで買わなきゃ!」

③ 心まで届く温もり
社会人になって初めての年末に、仕事が忙しく土日出勤もあったため、中々宅配便を受け取れずにいた。休みに入ってやっと受け取れた荷物の中には、フィンランドの叔母が編んでくれたの靴下が2足。少し前に、東京のアパートは足が冷えると言う話をメールでしていた。それを聞いて、ぼくのために編んでくれた叔母の気持ちがグッと詰まった靴下。溜まっていた疲れが一気に取れて、涙が出た正月の思い出。今年の冬も、きっと何十年後もずっと愛用する宝物になった。
毛糸の靴下は、一足も自分で買ったことがない。市場やクリスマスマーケットなどにはハンドメイドのものが売られているのを見かけるが、市販のものは見たことがないかもしれない。ぼくが持っている靴下の中には、買ってもらったものもあるが、それ以外は全部おばあちゃんなどがいつか編んでくれたものだ。今ではもう天国で暮らしているおばあちゃんだが、家族のために編んでくれたものに温もりを残してくれている。

③ 愛着ポイント 

10年以上履いたのもあって、毛玉だらけ


こちらの靴下は、実家からもらった、おそらくおばあちゃんが編んだものである。ぼくが中学生の頃だと思う。片方だけ、つま先の色が違う。これはデザインではなくて、多分、最後の最後に糸がなくなり、別の糸に仕方なく変えたのだと思われる。こういうのは、編んでいる時の背景まで見えて、ますます愛を感じる。


柄が可愛い

こちらは叔母に編んでもらったもの。ぼくが持っているvillasukkaの中で一番サイズがデカい。形も、ルームシューズみたいに立体的に編んでもらっていて、家の中でよく履いている。柄が凄く細くて、よく見ると5色も違う糸を使っている。手が込んでいるのが分かる。少し泣きそう。いつもありがとう。

以上。
考えてみないと分からなかった、意外と深い意味を持つvillasukka。
フィンランドの人から手編みの靴下をもらったら、家族のように愛されていると思ってもいいかもしれない。ぼくもいつか大事な家族や友人のために、編んでみようと思う日がくるかな。

もいもい!

クー🌙

今週のリアルフィンランド語 
ihan sukka! いはんすっか
= 直訳:超「靴下」じゃん!意味:不器用、下手
*こちらで紹介するフィンランド語は日常で使う方言又はスラングになりますので、いわゆる正確な書き言葉でない場合もあります。

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