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霊感とは・・・

霊感があるというのは、一体なんなんだろう。
好きで怪談話のYouTubeなどよく垂れ流してみているが、あらゆる前提が当然のように話が展開していく様は気持ち悪くてしょうがない。
「心の中に思ってたことが生き霊となって…」「霊が身体を乗っ取ろうとしてきたのかなって」

何を言っているんだ。
人の考える論理が、霊にも適用できるってどんな論理だ。
元は人間だから?怨念まみれの人間に対して、一般的な論理や感情論が通用するのだろうか。そもそもの前提がわからない。

あまりにも理解できないことを真面目に言われると、単純に混乱してしまうのだ。

ただ、粗を突いてバカにしたいわけではない。目に見えないことを信じることも一つのちからだと考えているので、捉え方の一種だと思うと割とスッと入ってくることもある。
何より「自分に見えないこんな世界が広がっていたら…」と思うと、ワクワクしてたまらないのだ。だからこそ、エンタメとして定期的に怪談話を聞きたくなるのだと思う。

敬遠してしまいそうな”霊の世界”を受け入れて、”だったらこんなこと日常的に起こってるんじゃない?”っていうのを書いてみることにする。

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ShinYu-心幽-

午後2時

電柱に捉われている幽霊--電柱幽霊
パチンコ屋に捉われている幽霊-- パチ幽霊

平日の昼過ぎ。人気のない路地裏。電柱が立っている。
電柱の前には、電柱幽霊が1体。
そこに通行人(男)が歩いてくるが、通りすがりに電信柱に向かって唾を吐く。

「おい、ふざけんじゃねえよおめぇ!汚ねえだろ!」
「相変わらず退屈そうだね」

もう一体、パチ幽霊がやってくる。

「どこがだよ!あいつ唾吐きやがったぞ!誰も見てないからって」
「しょうがないよ。人間には僕たちが見えないんだから。君も生きている時は、誰にも見られてないところで恥ずかしいことやってたりしてたんだろ?」
「いやそうだけどさぁ、パチ郎!」
「なんだよ。」
「まさか誰かに迷惑かけてると思わなかったよ」
「生きてる時はね。さっきの彼もまだ人生一周目なんだから。許してあげなよ」
「はあ…俺は一体いつまでこんなのに耐えなきゃならねえんだよぉ。電柱から離れられたらなぁ、少しは気が楽になると思うんだけどなぁ」
「早く成仏することだね」
「俺はいつ成仏できるんだ?」
「それは君が死んだことをまだ受け入れられていないってことだね」
「…パチ郎!」
「困ったら名前言うのやめろよ」
「いや受け入れてるつもりなんだよ俺だって!本当の意味で受け入れられてないというか…」
「何本当の意味って。」
「いや、なんかこの電柱がすごい好きでさ、なんでかわかんないんだけど離れられなくて、この好きって気持ちは生きてた時とおんなじなのね、俺のね、目線から言うともうこれは生きてるの。相手が俺のこと見えてないんだなってのはわかるんだけど、俺からしたら生きてた時と同じ目線でいるの。それってもう生きてんじゃん」
「お前うるせえな」
「うるせえってなんだ!生意気だな!お前死んで何年目だよ」
「3年だよ」
「こっちは30年目だぞ!大先輩だぞ!」
「もうやめろよ!生きてた時のルール適用するの。もう俺たち死んでんだから」
「偉そうに俺に物申すな!パチンコのやりすぎで死んだくせに」
「死んでからも毎日パチンコできるって幸せな日々だったよ」
「パチ屋にも幽霊がいるとか生きてる時は聞いたことなかったわ」

電話しながら通り過ぎる海外の人(外見はなんでもいい)。

「Just make up your mind already! I have to move out of my condo by the end of this year!」

それをふと見つめる二人。

「・・・最近アメリカ人増えたよなぁ…」
「円安だからね。もっと都会の方に出たらいっぱいいるよ」
「時代は移り変わるのに、俺は30年ここにいるんだぜ」
「だから死んだこと受け入れろって」
「俺なんでこんな電柱に未練があるんだろ。俺なんで死んだんだっけ?」
「死んでからも自分を見つめることがあるなんてな」
「ほんとだよなぁ…あれ?そういえばまだパチ屋ってやってるよな?今日なんでこんな早いの?お前閉店までいっつもいるじゃん」
「おん…」
「なんだ、その魂の抜けたような返事は。抜けたというか魂そのものか、俺たち。はははっ!霊たるもの、魂がなくなったら終わりだぞ」
「俺さ、気づいちゃったんだよな。ギャンブルってさ、生きるか死ぬかを賭けてる時が一番楽しいんだけど、結局生きてるから楽しかったんだなぁって。俺もう死んでるよなぁって」
「え…あぁ」
「もうパチンコに未練はねえや」
「あぁ、そう…そっか。」

徐々に体が消えていく。(キラキラエフェクトかけたい)

「最後に、お前に別れを言おうと思ってさ。もう思い残すことないや…あ、そういえばお前が電柱好きなりゆ・・・」

パチ幽霊が消えて。

「お前さ〜。はぁ、また一人になっちゃった。あ、人じゃねえか。なんだこの場合。いちれい(一霊)?一礼!」

ドローンの映像のようにひきのカットでフェードアウト。

20年後

シーンが切り替わり、20年後。
同じ場所で、電柱幽霊と犬に吠え合いをしている。街は少し未来感出したい。

「おい!うるせえ!黙れ!黙れ!ワン!ワン!」

「こら、いくよ」

女性が犬を連れていく。

「よし、今日は俺の勝ちだ。また明日な!犬っころ」

そこに男が歩いてくるが立ち止まり、こちらを見ている。

「ん?なんだ?お前もやるか?」

電柱幽霊が何かを思い出したような演出。

「お前…パチ郎…?」
「ここなんか見たことあるなぁ…なんだ?夢か?」

男が歩いていく。それを見つめる電柱幽霊。表情は見せず、後ろからのカメラカット。

終わり

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