常識という暗黙のルールを疑う
いつ誰が決めたのか分からない「常識」という名の暗黙のルールを疑うことから、見つけられる真実というのも存在する。
著者は、田中修治。
彼は、29歳の時に負債を14億円も抱え毎月2000万円もの赤字を垂れ流していた瀕死の状態のメガネチェーン店「OWNDAYS」を買収した。
現在、メガネ業界では有名であり、世界的な会社として名を広げている。
そんな田中さんが、世の中で暗黙のルールとして当たり前になっている10のキーワードについて、自分自身の経験を通して感じた本質的な部分の考えをまとめた一冊である。
私が、この本を読みたいと思ったのは、表紙に書かれていた言葉に目が留まったからである。
「何故、世の中でこれほど成功にまつわる本が売れるのだろうか?それは読んでも成功なんてしないからだ」。
私自身、2020年1月1日を境にたくさんの本に触れるようになったのだが、ほとんどは自己啓発系のビジネス書ばかりである。
モチベーションは上がるし、成功者になりたいという理想が膨らむ。
しかし、読めば読むほど色々な考え方に触れ、結局自分は何を得たのか、何を目指しているのか明確な答えは見つからなかった。
そんなことを感じている中で、本書の表紙を見て興味が湧き購入したのである。
本書では、10のキーワードについてそれぞれ切り分けてまとめているが、その中から今回は、2つのキーワードについてピックアップして伝えていきたい。
「幸福論のウソ」
誰もが手にしたいと思っている幸せ。
しかし、幸せを意識するあまり、息苦しくなってはいないか。
果たして本当の幸せとはなんなのだろうか。
幸せと感じるかどうかは、その人の価値観次第であるのに、「〇〇を幸せにします」なんて無責任な発言ではないだろうか。
100人いれば100通りの幸せの形がある。また、何によって幸せを感じることができるかは、その人の人生の時期、成長のステージによっても、常に変わりゆくものである。
つまり、幸せという言葉は、状態を表すものではなく、瞬間で感じる感情を表すものなのだ。
そう考えた時に、基準を「幸せ」ではなく「豊かさ」に置き換えてみてはどうだろうか。
幸せと豊かさの違いは、いつ誰が見ても客観的に明らかであること。
給料が上がった、新しい知識・技術が身についた、新しい経験をした、挙げていくとキリないが、昨日まで自分になかったものが、今日新しく増えた状態、これらは全て人生において大切な豊かさである。
そういう考え方が結果的に幸せを感じる瞬間を沢山味わうことができ、幸せな人生に送ることができるようになるのではないだろうか。
「お金論のウソ」
お金が持つ魅力は魔力とすら言える。
お金は本当にそんな大切なものなのだろうか。
今まで自分が大人から聞かされてきたお金に関する言葉を全部疑ってみる。
まず、お金というものは交換する道具として認識しておく必要がある。
世の中の全ては交換で成り立っている。
これを仕事に置き換えると、自分の時間とお金を交換していることになる。
ここで、時間に対してお金でしか価値を見出していないものは、仕事が労働になり、労働を通して学ぶことはなく、1年間同じことを続けたとしても、一歩も前に進んでいない状態になるだろう。
交換の意味を理解することで、時間に対してお金以外の何かをプラスして得られることができたか毎日の自分を振り返ることが大切になると思う。有利な交換をするために自分には何ができるのか。
そう考えると貯金すること自体には大した価値はないと思う。お金と対価に自分を豊かにする経験を増やしていったほうがよっぽどお金持ちになれる。
豊かな人間は交換することのできるツールが多い。知識、経験、信頼はお金と交換することができる。
つまり、給料の高い人というのは、会社にとって交換できるものをたくさん持っている人だと考えれば分かりやすい。
時代はモノ消費からコト消費へと移り変わり、今はヒト消費の時代に突入している。
商品はどんどん同質化していき、同じようなクオリティのものが生まれる。
お金と交換するという理論で考えると、価格競争でしか差別化を図れず交換価値は下がっていく。
そこで、人で選んでもらえるようになれば、価値はどこまでも上がっていく。
競争にもならない。
そう考えると、貯金するものはお金ではなく、信頼や人間力のほうが重要なのだと思う。
私は、もちろん幸せになりたいし、お金持ちにもなりたい。
そのためには、目の前の小さな豊かさを求め続けること、交換できるツールを増やすことに注力して、生活していくことが大切なのだと学ぶことができた。
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