現状肯定の脆さ【組織運営・営業論】

現状の否定から入るか、肯定から入るか。


1対1のコミュニケーションにおいては、「Yes,but法」を使うと相手を否定しないので自分の意見を聞いてもらえる可能性が高いと聞いたことがある。


ただ、組織運営においてこれが正しいのかというのは、もしかしたら検証が必要なことなのかもしれない。


きっかけは昨日のこと。

職場のチームミーティングが実施された際に、責任者が開口一番「そもそもこのチームの運営方針正しくない説」を主張したからだ。

なかなか勇気の要る発言だが、逆にいうと責任者が問題提起することでミーティングの空気に緊張が走る走る(笑)


私からすると現時点では、組織を理解し、実務を中心に覚えていくことの方がまだ多いので、「気になる点があれば指摘してほしい」と言われてはいたものの、正直肯定も否定もできなかったところに、一石が投じられた形だ。


走り続けているフェーズにある組織の流れを止めて、軌道修正をしていくのには結構パワーが必要である。

ちなみに、そのミーティングは、上期の振り返りと今後の方向性をすり合わせるのがメインテーマだった。それが「ミーティングの運営方法」そのものにまで影響が及ぶという。


中身からすると現状否定ではあったものの、個人的に良いなと思ったのは、「実績はどうか。現状をどう捉えているか(ネガティブ要因は本当にネガティブなことなのか)」を聞くというところから持論を展開していた点だ。

聞いた上で、「多分このままじゃダメ(コストに成果が見合わない)だと思う」という主張である。

かつ、その判断は「自社の発展ではなくビジネス構造として」というところが、「現場にいると見えづらくなる」視点だったなと。


限られたリソースでどこに集中投資するかというのはもっともな話で、現状の運営方法として私が認識していた、(どの業界でもまあまあ商談依頼は来ているので)そこを敢えて示さずネットワークを絶やさないことだと思っていたから、「おお、ど正論来た」と内心ザワついた。



似た話で、最近の業務を通しても薄々感じていたことがある。


「ファクトをベースに仮説を立てる」こと。

営業においては、ヒアリング→問題提起→それを解消するソリューションの提案→合意形成というステップを踏むのがセオリーだ。


この時、犯してしまいがちなのが、相手からヒアリングした表面上の言葉を「ファクト」としてミスリードしてしまうことだったりする。

お客さん自身は、「これをやることがいいと思っている」「これをやりたいと思ってるんだよね」というふうに何とか言語化して伝えてくれようとしているんだけど、これはファクトではなく単なる印象

だから営業としては、お客さんの発言に対して「なぜそう考えるのか?」という疑問を持たないと、本当の課題を見つけてあげることも、その先の解決することにも貢献できない。



ただ、分かってはいても実践するのが難しいというのも伝えておきたい(笑)


営業としては、商談の中で商品のことも伝えないと、買ってもらうかどうか判断してもらえないのでは?という気持ちの焦りも生じる。

そうすると、形だけのヒアリングをして進めてしまうという結果に至ってしまうのだ。



結局のところ、商談はアウトプットの場ではなく、顧客理解の場なのだと思う。


当社商材はBtoBでは比較的単価が安い商材なので、営業効率も考えて対処しないとという気持ちもある。

一方で、価格ではなく価値で選んでもらうことの嬉しさも知っているので、むしろ営業が1番注力すべきこと、丁寧にやるべきことは、最初の課題特定と問題意識のすり合わせだと考えている。



前職でもそうだったが、私は数字を上げること自体に価値を見出せない。

数字を上げることで組織に貢献していると認めてもらえることはありがたい話だが、単に会社が売上を上げるためという目的で働くのではなく、その先の本当に役に立っていると感じてもらう(理想は対社会全体だが、少なくとも取引先に対して)ことを大切にしていきたいというのが、私の仕事をするモチベーションだったりする。



正式な転職は10月1日付だったので、ちょうど1ヶ月が経過した。

社会への付加価値につながりやすい仕事への転職というのは間違っていなかったという実感はある。(現職も現職である種ニッチではあるが、前職は専門性というキーワードに自分自身がとらわれ過ぎていたため、全く役に立たないとは言わないまでも、顧客の市場理解という点ではニッチ過ぎる企業に身を置いたなと)

最初の3ヶ月が勝負ともいうので、ここからいかに爆発させられるかというのも重要になってくるだろう。

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