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父に受け入れてもらうのは諦めた

これは7年ほど前にメンヘラ.jpというサイトに投稿し、掲載されていたものです。現在はサイトが閉鎖され閲覧できなくなったためnoteに投稿しました。

夜9時ごろ近所に住む祖父から電話がかかってきた。祖母がいなくなってしまったという電話だった。

慌てて祖父母宅に向かおうとする父をみて、嫌な予感がした母と私もついて行った。

慌てる父の気持ちもわかる。祖母は手術のため数日前から入院しており、明日帰って来る予定だったからだ。

最近物忘れが激しくなってきていた祖父だったが、祖母が入院していることまで分からなくなっているのが父はショックだったのだろう。

「おかあさん(祖母)がいない。そこで寝てたのに」と私達を迎え入れるなり話し始めた祖父を遮り、「いるわけないだろ!入院中!」と父が言った。

いつもの強い口調だった。

そして、祖父の返事を待つことなく、明日の退院時の迎えのことについて話し始めた。

父が話し終えると祖父は、寝ぼけていたからいつもいる祖母がいないことに驚いて電話をしてしまったと寂しそうに、言い訳をするように説明した。

驚いたねと相槌を打ち、明日には帰ってくるからと伝える私と母を見て父は不機嫌そうだった。

祖父母宅を出て、混乱している祖父をいきなり否定してはいけない、話を最後まで聞けと説明する私と母に向かって父は「俺は専門家じゃないからそんなこと知らない!」と。

その言葉を聞いて、心の中がぐちゃぐちゃで泣きそうになると同時にすこし諦めがついた。

私が不登校になったときも、なんで行かない?何が嫌なんだ?と繰り返し、説明しようとする私の言葉を遮り、頼むから行ってくれと泣き出した。

学校が嫌だから辞めたいと言う私に、学校が嫌だという意味がわからないと繰り返し、学校をやめることが大学進学への近道になるとこじつけのような説明をしないと辞めさせてくれなかった。

そんな人だ。

娘が不登校になって鬱だと言われ高校を辞めたがったことを受け入れなかった父は、自分の父がボケ始めたことも受け入れないだろう。

受け入れられないんじゃない。

受け入れないんだ。

だからメンヘラへの対応を調べることもしなかったのだろう。本を一冊読めば、いつも握りしめてるスマホで検索すれば、簡単にわかるのに。

そして、ボケてきた人への対応を調べることもしないし、祖父を説得して病院に連れて行くこともしないのだろう。

学校へ行けなかった私に向かって父が言ったことはまだ忘れられないけれど、今回の出来事で父に対する恨みは消えた。

諦めた。

父はそういう人なんだ。だからしょうがない。

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