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音楽家がコロナウイルスの捕虜になってから

もし、あと数週間でコロナ禍が終わると信じているなら、また終結後は以前と変わらない世界に戻れると信じているなら、それはある時までには解放されると信じ続けた捕虜たちと同じでしょう。
それは失望へつながります。
盲信的な楽観主義を押しのけて超えてゆけば、新しい領域へ足を踏み出すことができるんです。
ありのままの世界を理解しつつ将来への確固たる希望を持ち、前進することができます。
それこそが乗り越える方法なのです。

記事:拷問を受けながら7年間過ごした男性のメンタル術 「ストックデールの逆説」より抜粋

まだ世界の“ありのまま”を見据えることは出来ませんが、現状のままだと、5月に緊急事態宣言が解除されるなんてことは無いのではないかとは思っています。
ありのままの受け止め方は、現時点では人ぞれぞれ。
すぐ先の公演予定を目指して、未だに「外で」活動する音楽家も居ますし、もう年単位で無理だと覚悟し、自宅で出来ることを模索する音楽家もいます。

僕は、後者寄りの考え方にシフトしているところです。
去りたくないけど去らなければならない、辞めたくないけど辞めなければならない、やりたくないけどやらざるをえない。
諦めるのは大嫌いだけれど諦めるという選択肢も、今後は出てくるのではないかと思っています。
そういう前提で動こう動こうと思いながら、なかなか前に進めないでいるのは、怒りが邪魔をしているから。

どうして今まで積み上げてきたものを、こんな事で無くさないといけないの?
どうして今まで積み上げてきたものを、こんな事で無くさないといけない可能性があるのに、未だに外で活動する人がいるの?
そんな人って、音楽を愛しているのではなく、結局は自分自身を愛しているだけなのでは?
なんであの人はマスクをしてないの?
なんでみんな湘南に遊びに行くの?
・・・疑問はクルクルと頭を支配して、やがて体の動きを止めてしまいます。

正解なんてないんです。
皆さん、一人一人にそれぞれのご事情があります。
誰もありのままの世界など見据えることは出来ないし、誰も未来の世界を見ることは出来ないのだから。
怒りも批判も、今は全てが筋違いなのも、重々分かってはいるのだけれど、今週に入ってから怒りをコントロールするのに苦戦しています。

精神科のお医者様に言わせると、怒りはパニックなのだそうです。
つまり僕は、捕らえられたばかりの捕虜と同じく、錯乱状態になっているのです。
コロナの捕虜となり、ある程度新しい領域へと足を踏み出してはいたつもりだったけれど、こんなにパニックだったとは自分でも思いませんでした。
人生の基盤、生活の地盤が揺らぐというのが、こんなにも不安だったとは。
まあ、気づくことが自分を知る第一歩なので、一概に悪いことではないですが、やはり僕はどこかで「もうすぐ解放される」と期待していたのだと思います。

そんな期待も、5月6日で打ち砕かれる可能性が大です。
それでも、今と同じように受け止め方は人ぞれぞれになるでしょう。
でも向き合うべくは、人様ではなく、自分自身の心。
コロナが鞭打つ拷問の中で、確固たる将来への希望を持ち続けられた人だけが、新しい世界へと踏み出せるのだと思います。

・・・いやはや。
こうやって文章にすると、冷静に怒りもせずに、自分の気持ちや目標を上手に描き出せるんだけどねぇ。(笑)
一人で悩んでいても、ロクなこたぁないやね。

僕と同じように、世間の動きを見るにつけ怒りに震えている方もいらっしゃると思いますし、なかなか次の一歩を踏み出せない人もいらっしゃると思います。
早い段階で今までの世界に見切りをつけ、どんどん新しいことにチャレンジしている人を見て、焦りを感じる方もいらっしゃるでしょう。
そんな方に、
あなただけじゃないよーと声を大にして言いたい。
歩いても止まっても、攻めても守っても、今はどれも正解なんじゃないかなと言いたい。
そして、いざ期待が打ち砕かれたとて、上記の記事のような考え方があるよーと言いたい。
その中で、自分のペースでまた新しく始めたらいいんだよーと言いたい。

同じように苦しんでいる誰かに届きますように。
新人捕虜の迷走記でした。

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音楽修行note。歌、声や身体、作曲や作詞などについて記事を書いています。 作曲家、編曲、シンガーソングライター、ゴスペル指導、ボイストレーナーなどマルチに活動中。 活動の詳細・プロフィールはhttps://pwmusic.jp