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時間のやさしさ

1年前。そこを通ると胸が苦しくて、大好きだった場所だからこそ思い出も眩しすぎて目を背けたくなる景色があった。

居心地が良くて、安心できて、楽しかったなと振り返れる場所はまるで虹のようで、一瞬で青い空に吸い込まれてしまったように私には七色に見えなくなった。

大切な思い出ほど心を蝕む思い出になって、悲しいことより楽しいことの方が多かったはずなのに、その記憶すらトゲを生やしたかのように心を刺してくる。

当時住んでた家も至る所にトゲが撒かれているようで、あの家にいるといつの間にか傷だらけになることに気づいて引き払った。

新しい思い出で塗り替えるよりも、新しいキャンバスをつくった方がよかった。そうしないと、痛みを見て見ぬフリしながら過ごしていたのだと思う。


今日、久しぶりにこの景色に会った。
1年前と少しだけ変わった景色。私の思い出の場所も、今はない。

ないのを知っていたからかな。
あぁ大丈夫だな。1年で平気になるもんだな。私はこの地を普通に歩ける。そう思った。

何度も泣いて嘆いて、今でもたまに痛い過去。
どんなに優しい言葉も必死で励ます自分も、頓服でしかなくて「もう大丈夫」と何度も思うのに夜中に勝手に涙がぽろぽろ落ちたりした。

「時間が解決する」

というのは絶望的な言葉だと思った。
逆に言えば時間しか解決してくれないから。人の言葉が頓服なら、時間は常備薬とかサプリメントだ。
効果はわからない。効いてるのかわからない。でもきっと飲まないよりマシなんだ。
時間も同じように、絶望した過去の痛みは今より未来の方がマシで、もっと過ぎればキレイさっぱりなのかもしれない。


だから私は未来に希望を持つのだろうか。
過ぎ去った過去は、乗り越えた過去になり、励ましてくれる。

雨が止めば虹が出ることを何度も実感するから「きっと大丈夫」と言えるのかな。

時間は誰よりも優しくて、絶対に裏切らないものなのかもしれない。

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