英語やドイツ語を 喋る/歌う 時の「音のリズム」の作り方。発音練習で大事なのはLRやÜÖではない。

発音の練習となるとRやLとか、ÜやÖなどの
目立つ事柄にとびつきがち。

だが、1番重要なのはそこではないという話。


発音のシステム全体に目を向けるべき

「日本人が英語のRとLの区別ができないのは日本語にRとLがないから。だからRとLをしっかり練習しよう!」
とか、

ドイツ語でも、
「ÜやÖは英語にも日本語にも無い音だからこれを1番練習しなければ!」

などと、目立つ分かりやすいところに飛びつきたくなる。
けれども1番大事なのはそこではないと思う。

そういったRやÜなどの個別の音ではなく、
「英語とドイツ語に対する、日本語の発音のシステム全体の大きな違い」
に目を向けるべきだと思う。

その違いを理解し、どこを気を付けると分かりやすく伝わるのか という部分を1番意識すべきだと思います。

そもそも「どこが1番大事か」という学習者の考えは、
自分が生まれ育った言語の感覚を元にしており、それが英語やドイツ語の母語話者の感覚とは違う可能性があります。

もちろん、上記の可能性はこのnoteを書いてる私にも当てはまります。
私は日本語以外の母語は持ってません。


文の伝わり安さには「音のリズム」の影響が大きい

私の妻はよくパン屋でパンをたくさん買ってきます。
そしてそれを一緒に食べるのですが、
その際に私は、パンを口に含んだまま唇を開かずに
「おいしいねー」
と言ったりします。

この時に実際の音としては
「フンフンフー」
という感じで、鼻を通して喉の音が直接出てるだけになってます。

つまり「おいしいねー」に該当する子音や母音は全然出ていない状態になるかと思います。

それでも私の妻は
「おいしいねーって言ったの?」
と、私の言おうとした事を当てます。
妻には「フンフンフー」としか聞こえてないのに。

もちろん、状況からの推測もあるのは当然です。
けれども妻は「おいしいー」や「おいしいよー」
だとは答えずに、私が言おうとした
「おいしいねー」
をピタリと当てるのです。

つまり、何が言いたいかというと
「音のリズム」
がもつ情報は大きいということです。

この「音のリズム」は英語にももちろんあります。
そして英語では「音のリズム」の重要度がかなり高いように思えます。

以下の動画達がその例です。
いずれも1分以内に終わるショート動画です。

なお、ドイツ語の場合に「音のリズム」がどれくらい重要なのか、判断できるほどドイツ語にはまだ習熟しておりません。

しかしながら、「音のリズム」の作り方は英語に非常に近いというか、完全に同じなのではという感じがしています。

ドイツ語をやってみて、かなり似てるというか、使う音が一部違うだけで、このnoteで述べたい部分については全く同じだと感じてます。

私は英語の発音練習の際に意識して、
発音練習を1年間くらい毎日やってましたが、
その時掴んだコツ(このnoteで述べたい「音のリズム」)は
ドイツ語学習にも全くそのまま適用出来ました。

すなわち、適用して自分の口で発音を試してみた場合と、ドイツ語の教本についてるCD音声とで、
聴き比べても全然違和感を感じませんでした。

ドイツ人は一般的に英語が得意と言われており、
ドイツ語は言語的に英語に近い言語らしいです。
なので「音のリズム」の仕組みも似ている、あるいは同じなのかもしれません。

以降、本noteでは
英語とドイツ語で「音のリズム」の仕組みは全く同じ
という前提で進めます。


「音のリズム」の作り方の 日/英独 の違い

「音のリズム」の作り方は
英語とドイツ語に対して、日本語では大きく異なります。

そして、それがどのように異なるのかを把握し
「発音練習の際は音のリズムの作リ方にしっかりと意識を向けるべきだ」
というのが本note記事で言いたい事です。

「英語やドイツ語の音のリズムを作ること」
に必要な事柄は以下になります。

●余計な母音を入れないで発音する
 (日本語話者は必要ないところでつい余計な母音を足しがちで、その母音でリズムが崩れる)

●ピッチアクセントではなく、ストレスアクセントを用いる
 (日本語はピッチアクセントが基本であり、英語やドイツ語はストレスアクセントが基本)

●モーラではなく、音節を用いる
 (日本語はモーラに支配されているが、英語やドイツ語は音節に支配されている)

以降、各項目の説明。

余計な母音を入れないで発音する

日本語話者は必要ないところでつい余計な母音を足しがちで、その母音で音のリズムが崩れます。

例として
I can speak English.

speak English
の部分に着目してみましょう。

これをカタカナで書くと
「スピーク   イングリッシュ」
となりますが、
スピークの最後の「ク」の部分について、
日本語話者はカタカナでの言い方に流されて
「ku」
と発音してしまいがちです。

この 「u」の音は speak には不要な音で、
本来は「k」だけです。

また別の例として
I saw a cat.
という例文があったとして、
catをカタカナで書いた「キャット」に流されて、
最後に不要な「o」の音を足してしまいがちです。

日本語の音声で数文字おきに余計な「あいうえお」が足されたらだいぶ聞きづらくなると思いますが、
それと似た状態になってることになります。

ピッチアクセントではなく、ストレスアクセントを用いる

日本語はピッチアクセントが基本であり、
英語やドイツ語はストレスアクセントが基本です。

日本語のピッチアクセントとは
雨 と 飴
の差を産んでる、音の高低の変え方の事です。
日本語は音の高低の違いで意味を変化させます。

一方、英語とドイツ語はストレスアクセントで、
ストレスアクセントとは、
音の強弱で意味を変化させる方式です。

日本語を勉強している外国人(英語が母国語)が
「ワターシノ  ナマーエワー」
みたいに言ってるのを聞いた事がありませんでしょうか。

あれはストレスアクセントで日本語を喋ってる状態です。
ストレスアクセントをつい入れてしまう癖が日本語を喋る時にも出てしまっているのです。

逆に考えれば、英語で喋る時というのはあれくらい頻繁にストレスアクセントが来るのが普通ということです。

だからといって、英語を喋る時にただ闇雲にストレスアクセントを入れればよいというわけではありません。

ストレスアクセントとは音の強弱で意味が変わるという方式なので、
適切な位置にストレスアクセントを入れないと違う意味になってしまいます。
すなわち言いたい事が伝わりません。

モーラではなく、音節を用いる

日本語はモーラに支配されていますが、
英語やドイツ語は音節に支配されています。

モーラというのは、川柳や俳句に使われる575のリズムに現れています。

ハッカ = 3
きゅうきゅうしゃ = 5
と拍数のようなものを日本語母語話者は感じとれると思いますが、
この感覚の事です。

一方の音節ですが、これは例えば
speak English = 3
です。

すなわち、手を等間隔に3回叩くのに合わせて
speak English という歌詞を付けるとしたら
speak / En / glish
という歌い方になります。

説明のために歌う場合の例になってしまいましたが、
普通に話す場合であっても上記は3音節で
3音節のリズムをもって話すことには変わりありません。

そして音節には基本的に母音が1つだという性質があります。
余計な母音を入れるとリズムが崩れてしまうというわけです。

余計な音が入っていると曲のリズムに合わせて歌うのも難しくなります。
余計な音の分だけ口が追いつかなくなるためです。

更に、併せてストレスアクセントも音節毎に1回ずつ入れる必要があります。
入れる必要があるというか、ストレスアクセントがあることで「ここに1音節ある」ということが相手に伝わるのだと思われます。

このように、
・余計な母音を入れない
・ストレスアクセント
・音節
の全てを組み合わせることで英語のリズムを生み出します。

詳しい説明

今までが概要の説明になります。
詳しい説明については以下のnoteでまとめています。


終わりに

念の為言及しておきますが、
あくまで「1番大事というわけではない」と言いたいのであって、
「RやLなどの個別の音をないがしろにしても問題ない」と言いたいのではありません。

短い単語などは個別の音の発音がちゃんと出来てるかどうかが特に効いてくる気がします。

ドイツ語で言えば
Köln(ケルン)
は、以下の2点が重要かと思います。
・1つ1つの音がちゃんと出せているか
・連続した音の流れに対応出来てるか

すなわち、
ö, l, n それぞれを単体では綺麗に発音出来てたとしても、
ö→l→n と繋がった時にその流れに舌がスムーズについていけてるかどうか
がとても重要だと思います。

これは、本noteの音のリズムの話とはまた別の技能になります。

なお、Köln(ケルン)は日本人が発音して全然伝わらない単語の代表みたいなもんらしいです。
日本人向けのドイツ語発音のYouTube動画などのコメントをみると、そういう雰囲気の日本語コメントがちらほら。

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