マンガ「煙と蜜」の危ういバランスについて熱く萌えています

「煙と蜜」(長蔵ヒロコ/ハルタコミックス)というマンガにハマっています。現在2巻まで刊行されていますが、繰り返し読んで飽きないマンガです。

時は大正5年、名古屋。12歳の令嬢、花塚姫子には許嫁がいました。目下の姫子の目標は、その許嫁とより仲良くなること。許嫁は30歳の軍人、土屋文治。30歳と12歳という異例の組み合わせの許嫁ふたりは、少しずつ少しずつ仲良くなっていくのですが…。

二人がどういう経緯で許嫁となったのかはいまだ語られていませんが、時折登場する姫子の祖父の意向なのかもしれません。姫子の父親は登場していませんし、そのへんの事情もいずれ語られることになるんだと思います。

このマンガでなにより良いのが、まだ「許嫁」でしかないこの二人の微妙な関係性。大人な文治の行動に振り回され、顔を赤面させっぱなしの姫子が可愛らしく、萌え萌え〜!という気持ちになります。甘酸っぺえんですよ二人が。

しかしAmazonのレビューは賛否両論ですね。まあ30歳男性と12歳少女の恋愛ものって言うと、うん、確かにアレだもんな…。

確かにこのマンガは性的なシーンが一切ないながら、どことなく色っぽい感じがします。同時に主人公である姫子はどこまでも純粋で清らかであり(まだ12歳の姫子が「女です」感を出してきたら、読者に嫌われちゃうんじゃないでしょうか)、文治との関係は進展するようには見えません。

そんなこの作品の危ういバランスを保つのに一役買っているのが、文治の色気。目の下のクマが怖めなこの男性からは、ただタバコを吸っているだけでも匂うような色気が立ち上ってきており、だからこそ清純で可愛らしいはずの姫子との関係性にも、どことなく淫靡な感じがするのかもしれません(そしてそういうところで気持ち悪いと言われてしまうのかも)。物語の所々で文治は際立った存在感を見せます。上着を脱いで、花塚家の縁側に座ってタバコを吸っているだけで。髪を下ろして浴衣姿になっているだけで。

文治の内面は謎めいたところが多く、彼が彼自身の12歳の許嫁を、本心ではどう思っているのかはわかりません。彼の行動は、姫子のことをからかっているようにも思えます。というか30歳の男性(軍人)が、許嫁とはいえ、12歳の女の子を本気で女性として好きだったら怖いですからね…。あくまでもプラトニックだからこそ萌え萌えできるんだと思います。

私はこのマンガを1回読んだだけで心を奪われてしまったのですが、ラストを読むのが怖い気がします。いやまだ全然完結しないんだろうけど。しかしながら、この二人が正式に夫婦になり、そこに生臭い夫婦生活の匂いがしてきたら…と思うと怖い。でも読みたい。ああ知りたい、姫子の恋はどう落ち着くのか、教えて下さい。

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