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【感情紀行記】プラシーボ格差社会

 絶不調で始まったと思われた一週間は、案の定風向きが悪かった。辺りを見渡してもグレーで覆われたような薄暗い日々が始まった。ニュースでは梅雨入りするなど、薄暗い雰囲気は世界を覆っているような気分になった。紫陽花の鮮やかに見える青や紫の色は、日常の小さな喜びを気づかせた。

 思い通りにいかない何日かが過ぎ去った後、何となく上手くことが進んだ。突然未来に対する観測が楽観的なものに変わり、明るく道が開けたように見える。「運気が向いてきた。」そう思っただけで、街を彩る紫陽花が増えたような気がした。面倒だった授業が休校になり、今まで仲良くなれなさそうだった人と仲良くなれた。運気が向いてきた、そう思い込めただけで、悲しいことや辛いことから目が離れ、将来の予測も大きく軌道修正した。人間好きなものを見て好きなように解釈して生きている。

 こう思うと、神社に行って何かを強く思うことで何かが成就するというよりも、強く願ったからきっと大丈夫と思えることが重要なのかもしれない。明るい未来を想像し、小さな幸せに気づけるだけの余裕を持って生活することの重要性を痛感した。辛いことや悲しいことを考えると、一気にその負のスパイラルへと落ちていく。「よく考える事」の副作用だ。一方で、楽観的に物を見て、考えすぎずにいられる人は、勝手に幸せを感じていく。もちろん前者の人も幸せは感じられるが、負のスパイラルへと落ちていくことも少なくない。考え方や、ものの捉え方で幸せの総量は変わらずとも、感受量が決まるなんて悲しい格差社会だ。格差是正を訴えたい。

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