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【感情紀行記】シナモンロール

 再びパンに関する悩みが再燃してしまった。家族が買ってきて、朝ごはんになるはずだったシナモンロールがテーブルの上に置かれていた。時間は夜、食べるか食べないか相当迷ったが、コーヒーを入れれば、デンマークで美味しいシナモンロールを食べた時と状況は同じである。ささやかな贅沢として食べることとした。

 しかし、一個丸々食べるというのは、流石の贅沢とは言え多すぎる。半分くらいがちょうどよかったのだ。しかし、シナモンロールというのはどのように半分にするのが正解なのであろうか。

 まずは、包丁で真っ二つに切る案だ。これは綺麗に半分になるが、グルグルと渦巻いているシナモンロールを一刀両断すれば、バラバラになってしまう。これではロールとは言えない。分度器状のものがいくつかできるだけである。次に、渦に沿って半分と思われる量を取る作戦である。これは、外側から分解して行った時に、必ず物足りなさを感じることが問題となる。当たり前だが、円は外側の円周の方が大きくなる。パンとしての分量の半分を取れば、必ず半分食べた気にはなれないような形となってしまう。

 ロールの形をとるのか、半分をきっちり食べるのかを悩んだ挙句、包丁で半分にすることを選んだ。形状の気持ち悪さこそ残れど、美味しくいただけた。次の日、もう残りの半分を食べようとしたが、そこにはすでに、半円となってしまった「シナモン半円」のもう片側は無くなっていた。

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