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生きとし生けるものとの調和を結ぶ家「シューマッハー・カレッジ」で学んだこと~スモール・イズ・ビューティフル"を体現する、英国の小さな大学~

学校をつくりたい。
去年の夏に会社を辞めて、真っ先に思ったことはこれだった。

既存の教育システムは、今や社会のあらゆるところに弊害、ひずみをもたらしている。
大学では、多くの学生がエコロジーを学ぶことなく、エコノミーを学んでいる。
その結果、経済や産業にとって都合のいい人材が大量生産され、地球温暖化や生態系の喪失にはじまるような、環境破壊をも生み出す結果を招いている。

この現状を変えなければいけない。
大学を卒業し、会社に就職してわずか1年半しか経過していなかったが、当時23歳の自分にとって、それは確信だった。

あれから一年後。
英国南部の地で、世界的に知られるエコロジーの知の拠点に足を踏み入れながら、自分の直観は間違っていなかったと再認識した。

その場所の名は、シューマッハー・カレッジ

シューマッハーカレッジ入口

1973年に出版された『スモール イズ ビューティフル』の著者であり、経済学者E・F・シューマッハーの名前と思想を受け継いで生まれた大学院大学だ。

つながりや人々の幸せを前提に考えた、新しい経済学を学べる場所。
自然環境と調和した生き方を育む、先駆的なコミュニティ。

先行きが見通せず、「現状維持」が困難な転換期の今。
国際社会が目指すべき、オルタナティブな世界がそこには存在していた。

私たちはどう生き、どう暮らし、どう学ぶのか。
7月1日からの一週間、私が見てきたものは、これからの自分の人生に大きな示唆を与えるものだった。一か月が経った今、改めて振り返ってみても、この好機に巡り合えたことに感嘆している。
コロナ禍、意を決して訪れた海外での短い旅路を、ここに記したい。

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