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溶鉱炉

夜の空が赤いのは
溶鉱炉が開いたからだろうか
いつもなんだか不安だった
ちょっと怖かったんだ
人を越えた何か
その感覚

昼の河を見ると魚が泳ぎ
めだかに鮠
河岸と石の下
キラキラしてる
まぶしい太陽

空の赤さが怖いのは
あるはずもない戦争の記憶
何度も空襲があって焼夷弾に焼かれた
それを知っている
河が楽しいのはそこにあるもの
明確に存在する記憶
誰かと戯れたその場所
浮き上がる

その記憶
夜の空が赤いのは
どうしてだろう
こころがちょっと不安になるんだ
真昼の河が美しいのは
どうしてなんだろう
こころがとっても楽しくなるんだ

離れているこの場所でも
ピカの光も音も衝撃だった
それらを含んだこの土地のその記憶
よい時代ではなかったかもしれないけれど
その上に立っている
脈々と

溶鉱炉が開いたとき
多分空もまぶしくて火花も走る
道筋に流れ浮かぶそれは鉄の川
鱗の光
その神秘を見ると
ちょっと不安になるんだ
こころがどきどきするんだ

赤い空は黒いから
黒い空は白いよね
白い空は夢に溶け
また黒く戻るんだ
いつかまた赤い空
繰り返す
跳ねる河の魚
キラキラしてるせせらぎ
光る魚の体
楽しくなるんだ
そして
光の反射が赤く見えたら
もう夜に

不安になるんだ



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