新しいあなた

新しいあなた
春を運んでくるという
本当かな
春がきたらどうなるの
閉じたこころの隙間を開く
こじ開けたりしないよ
花が咲くように
地から水が蒸発するように
時間が止まるような
そんなこころの隙間
川のせせらぎのように
絶えまなく
少しずづ開花し
ああ春だ
新しいあなたに
そっと伝える
来たんだね

風にのって
温かい雨を運んでくる
もう植物は準備ができていて
いっせいに奏でる合図
やってくるのを待っている
新しいあなた
大歓迎のコンサート
暗い中に緑は萌えつづけ
明けると一斉に開く
蒸発した水をまとい
いいものも悪いものも伝えるため
放出するそのもののため
目は開く
来たるべき明日

新しいあなた
その後ろ姿
別に輝いてなんかいないさ
漂う陰影
それを脱ぎ捨て脱皮
そうすればあなたの姿はもう見えないから
もうそこにはゆけないね
だからやってくる
ほころびを運んできたんだね
その微妙な表情
笑顔か照れか分からない恥じらい
うれしいな
喜びを運んでくる
新しいあなた

あの頃は
カオスの真っ只中にいた
一緒に笑って怒って藻掻いたね
夏のような季節
あれはその後の夏だった
嵐が過ぎ去るまで待てなかったから
今は待ってるよ

春を運んでくるという
新しいあなた
楽しみな
その姿