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ゲームセンタービジュアライズ#5

ゲームセンタービジュアライズなのだが、どうしても私の過去の環境で初期のアーケードゲームのことを書くとなると、ゲーム喫茶や郊外のドライブイン、デパートの屋上のゲームコーナーなどゲームセンター以外の場所が出てくる。エレメカに至ってはデパートの屋上含むゲームコーナーしか選択肢はない状況だった。今はもうほとんどないそういう空間が今となってはとても暖かい場所のように感じる。当時はいかがわしいゲーム喫茶でありり、国道沿いの外れた場所にあるドライブイン、大人が行く喫茶店、レストランやいろいろなものが入り混じったデパートの屋上だ。そういう場所が懐かしい。もうないものだからだろうが記憶にはいつもあって、つい思い出してしまう。

ゲームセンタービジュアライズ


A,B,C...Bタイプ

このゲームや台のことは憶えているんだけど、どこでプレイしていたか定かではない。同じ任天堂のシェリフはとても小学生が入れるような場所じゃない、いかがわしいゲーム喫茶、そしてその後同じ任天堂のスペースファイヤーバードは友達の実家が営む喫茶店だった。なのにスペースフィーバーはその環境の記憶がない。その内容は鮮烈なのだけど。その鮮烈さがあるからそれだけが残り、環境を憶えていないのかも。
スペースフィーバーはタイトーのスペースインベーダーの亜種だった。あの頃はコピー品や亜種がたくさん出ていてライセンスを取っているのかは知らないが、任天堂も同じように作っていたということだ。しかしそこは他のコピー品や亜種とは違い特徴があった。亜種ということで音楽などの追加要素があったし、効果音も少し特徴的だった。それにカラー画面もあったらしいが私がやっていたのは白黒だった。残念だったのは敵やトーチカのデザインがあか抜けていなくて、その頃同じ白黒のスペースインベーダーには見劣りしたということ。しかしスペースフィーバーには特徴があって、それゆえにスペースインベーダーとは別に遊ぶようになる。スペースインベーダーの亜種というだけにとどまらず、それを元にした類似の三種のゲームが入っていて開始時に選んでプレイできた。Aタイプは敵のインベーダーの編隊が左右に分かれているタイプ、Bタイプはいきなり敵が一列しかいなくて面食らうタイプ、Cタイプはほとんどタイトーのスペースインベーダーと変わらないタイプだった。最初は珍しく見た目に分かりやすいAタイプをやっていたけど、途中からBタイプも結構やるようになった。Bタイプは一列から始まりいきなり速度が速い。敵の数が少ないからということなのか、往復をすればもう一列上に敵が追加されるのだ。逆に追加されると速度が落ちるという仕様だった。理にかなっているとも思うが、こういう広げ方もあるのだなと思った。初めは見た目のAタイプを遊んでいたが、そういう仕様を楽しんでプレイするとBタイプをよくやるようになった。任天堂といえばシェリフやドンキーコングとなるのだが、それにも通ずる新しいアイデア。それを感じていた。厳密いえば、その時はそのように感じてはいなくても、スペースインベーダーの亜種の中でも別の要素を感じ遊んでいたのは事実だ。


スケートリンク

とても印象的なゲームだった。映画館の外にあるハンバーガーショップのオープンスペースにテーブルのゲーム筐体がいくらか置いてあった。その一角は多分映画館のテリトリーだったが、ハンバーガーショップと一体となっていたのでいつでも利用できた。ある日そこにあったのが005だった。画面の色が目を引いた。あり得ない配色をしているように感じた。オレンジとか水色とか白、けばけばしいわけではないが、浮いた感じがする。それで目を引いた。
早速プレイしてみたがよく分からない。特によく分からないのはスケートリンク。説明すると005は多分007をもじったスパイで、街からアタッシュケースを回収し、ヘリに持ってゆくのがこのゲームの任務だ。勝手に思うのだが、このゲームをするいくらか前にスーパーカーブームの中、映画007私を愛したスパイが公開され、水中を走るボンドカー、流麗なロータスエスプリが人気を博した。そういうことがあったので005が作られたのではないかと邪推している。いや、もちろん007は世界のスタンダードなので単にそれをモチーフにされたのだろうというくらいは分かる。
話を元に戻すと005が街からアタッシュケースを受け取り、ヘリへと運ぶのだが、街の中にあるのは何故か倉庫とスケートリンクだ。そのどちらかに入り、屋上で右往左往しながら待機しているヘリに乗り脱出する。それらを経るとヘリに乗って戦う面もり、変化もある。街の面には倉庫とスケートリンクと敵となる警備会社みたいなものがある。入れるのは倉庫とスケートリンクだ。街の面から倉庫に入ると倉庫の中では真っ暗の中、警備員がライトを照らし迫ってくる。倉庫には荷物もあるので直線的に照らされるライトが当たっているところだけ認識され、荷物に遮られライトに照らされない場所は敵に見つからない。そこがゲームの戦略なのだろうが、結構難しい。決まったパターンの倉庫だが二人いる敵の動きやスピードにあまり隙がない。かわせたとしても右往左往するヘリの下にも警備員はいる。銃で撃つこともできるが、一定時間が経てば復活する。その間にヘリに乗るのだが、迫感のある戦いだ。そして元の話のスケートリンクが分からない。街の面からスケートリンクに入ると警備員がたくさんやってくる。スケートリンクの周囲を移動するのは普通だが、中心に広大なスケートリンクがあり、その回りを通路が囲んでいる。リンクへの出入り口は左右の二か所のみだ。しかもリンクに入ると滑るのでコントロールが効かない。一度リンクに入れば、通路への出口までもたどり着きにくいくらいだ。そして同じようにヘリで脱出するのだがやはり難しい。それらどちらか、若しくはどちらでも二面クリアすれば今度は脱出したヘリで対ヘリ戦が待ち受けている。障害物や風船爆弾も襲ってきて、クリア条件の敵ヘリを撃墜するまで結構大変だ。敵ヘリの攻撃は最初は上空からの爆撃だが、最後にはレーザーのようなものを撃ってくるのでそれも難しい。自機は上から下から攻撃され、左右は障害物で埋め尽くされている。その障害物を撃ち空間を作り生き延びようとするのだが、障害物が多く、画面上に一定数ある障害物が重力で上から降りてくるので空間は埋められてしまう。難しいのだ。そうして考えると倉庫はまだしも、スケートリンク、対ヘリ戦と、このゲームはどちらかというと不可解な難しさが存在するが、私はそれでも打ち勝とうと何度かプレイしていた。そうしていたらいつのまにか姿を消していたのだ。それ以来ほかの場所でも見たことがない。私にとっては幻のゲームになった。そしてその思いだけが残っているような、そういうゲームになった。


完成された高次元への息吹

いきなりではあるが、ギャラクシアンである。先ず言いたのだ、ギャラクシアンだと。当時私の回りではスペースインベーダーとその亜種、それら一辺倒のシューティングの世界だった。ギャラクシアンはそれに大きな進化をもたらした。画面も音も一つ新しい段階に進んだのだ。最近でもないけれど、プレイステーションのリッジレーサーのローディング画面を思い出したりもする、ナムコの金字塔的ゲームだ。カラー画面、キャラクターやフォントのデザイン、インベーダー基板とは違う音、そしてミュージック。それらの素晴らしいこのゲームがナムコという会社を私に強く意識づけた。以前ギャラガのことを書いた時のボムビーとキューティーQもナムコだが、その頃はナムコという会社を意識はしていなかった。そしてこのゲームはゲームセンターを含む、最初に書いたすべてのロケーションで長期間稼働した。それほど世界を変えたのかもしれない。進化か変化か、それはどちらともいえるのかもしれない。そんな感じがする。
ギャラクシアンの特徴はカラー画面、自機や敵キャラクター、星の流れるバックグラウンドの描き込み、フォントや面数を表す旗などのナムコらしいデザイン、スペースインベーダー基板の心地よい音とはまた違う、プレイヤーの耳をくすぐる効果音は素晴らしく、BGMともいえる鼓動のような音、スーッと抜けてゆくような自機の発射音、そして敵が編隊から離脱し自機に向かい攻撃してくる飛来音はユンカースのサイレンの音のような緊迫感がある。このサウンド、オープニングの音楽にはこれ以降のナムコのゲームで完成されてゆく様式の入口のように感じ、それ以前からの確実な進化を感じた。
それ以上に感じる進化はシステム上の変化や戦略上の変化だ。ギャラクシアンの敵キャラクターはスペースインベーダーと同様に初期に編隊は組んでいるが、攻撃時は各個編隊から離れ自機若しくは自機周辺にめがけて飛来し攻撃してくる。その動きは完全に決まっているようでもないが、敵の種類で別れていて、いくらかの攻撃パターンで攻めてくる。一番数の多いザコ機はどちらかというと直線的な動きで自機に迫り、次に多い中隊長機はどちらかというと凄くスピードに乗った並行的な動きをし、鋭いカーブで切り返し戻ってくる、そして隊長機は警護機と共に飛来してくることが多く、その倒し方で得点が変わるという仕組みだ。警護機も隊長機も守るもの守られるものがいなければ単体で攻撃してくるが、隊長機に関しては画面外に逃がすと次の面に出てくることがある。どちらかというと、と書いたのは、その動きは固定されてなく、ザコでも中隊長でも護衛でも隊長でもいろいろな動きをするからだ。そういうシステム上の変化や特典などのルールの追加、編隊で攻撃してくるという世界観的な意味、そういうものが変わったと思うところだ。これにコーヒーブレイクやボーナスステージ、ネームエントリー、そしてそれら個別の音楽が加われば黄金のナムコゲームというところだろう。
ギャラクシアンは最初からかなりやったが長期稼働していたので後々も時々やるようなゲームだった。ナムコの足跡、これ以前のゲームもあるが、メジャーな第一歩、ギャラガの時に書いた"高次元調和"を実現し始めた第一歩のゲームだったし、この時点で完成されてもいた。そしてそのギャラガ含めて続編もずっとプレイしている。



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