お客さんが入ってきてホッとした
最近、休日の楽しみが増えた。
その楽しみとは、自宅近くのカフェでゆったりとした時間を過ごすことだ。
そのお店はモダンで、明るい日差しが差し込む店内。
そのお店でお手製ブラウニーをいただき、コーヒーを飲みながら読書する時間がとても心地よい。
もちろんコーヒーはとても美味しい。
しかし、わたしが一番価値を感じているのは、静かな空間で時間を過ごせることだ。
平日なら、わたしが入店した時にはお客さんはいないことが多い。
なので、外のデッキが見える席を選び空を見上げる。
「日常、空を見上げることが少なくなったなぁ」そんなことを思いながら。
わたしはこの静かな空間が好きだ。
B5サイズの方眼紙に、頭の中に浮かんだことを次々に書き出していく。
そうすることで、頭の中が整理されクリアになる。
なので、この静かな空間とその時間は私にとってはかけがえのないものと言えるだろう。
しかし、少し心配なこともある。
それは、このお店の席がすべて埋まっている光景を見たことがないことだ。
「いつも空いているので心地いい」
けれど、お店が続けられなければ、お気に入りのこの場所はなくなってしまう。
なので、お店を続けるためには、たくさんのお客さんに利用してもらいたい。
たくさんの人に利用されるようになると、お店は存続されるかもしれない。
一方で、お店がにぎわうと頭の中を整理する静かな空間というものはなくなってしまう。
「お客さんに知られてほしい」
でも、「静かな空間であってほしい」
このジレンマに陥ってしまう。
「自分勝手だな」と感じつつも。
コーヒーを飲み終え、店主さんが3回ほどお水を注ぎにきてくれたころ、
夫婦が2組続けて入店してきた。
店主さんが少しあわてている様子を見て、わたしは席を立ちお店を出た。
なんだろう。
自分でもよく分からないが、お客さんが入ってきてホッとした。