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こてつ
2022年12月16日 08:13
西の空に充満した黒雲がどんどん迫ってきて、じきにここも雷雨にやられると職人たちは口々に言い、その声に休息への宿望が滲んでいた。作業の手を止め、資材をシートで覆い、彼らは充てがわれたプレハブの詰所へと潜り込んだ。忽ち雷霆が頭上で轟いた。ぐっと身を屈める大男の隣で、茶を手にしてぽかんと天井を見上げる小男の取り合わせ。簡易な造りがびりびりと震えたかと思うと、間をおかずにピカッと光って
2022年11月30日 10:51
粉を溶いたような薄水色に、やや暗がりを含んだ雲がいくらか浮かんでいる。大ぶりのうしろに小ぶりものがふたつ、親に付いて行く子かはぐれた子か、呑気そうに流れている。冷たさが混じりはじめた風が私を背中から吹き越して、道端にあるイヌマキと思しき生垣をガサガサと鳴らした。するとその垣根の奥から老人がふと現れた。黄色の強い皮膚をしていて、痩せていて、足元も覚束ず、肌寒くなろうこの季節というのに老人らしい鷹揚