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ワキ毛vsスネ毛論争 | そのコラボレーションは面白いか?

 学生時代の話である。ゼミの研究発表会のような催し物があったので、私の部屋に同じゼミの友人が来て、打ち合わせをしたことがあった。「友人」と書いたが、悩み事などをお互いに語り合えるような親密さはなかった。だから、本当は「友人」というよりも「知人」といったほうが正確である。別に仲が悪いというわけではないが、必要な話し合いをしたら、早く一人になりたいな、と思っていた。

 とりあえず「こんな感じでいこう!」という結論が出て「じゃあ、また学校で👋」ということになった。
 そして、サヨナラを告げようか、というタイミングで、その「知人」が言った。

「これ、陰毛じゃない?」
カーペットに落ちていた一本の「毛」を指で挟みながら言った。

私は少し動揺して、
「いや、それはたぶんワキ毛だと思う」と言った。

知人は言った。
「なに動揺してるの?このチリチリ度合いは、陰毛じゃない?」

私は言った。
「その可能性はあるけど、ワキ毛だと思う。もしもワキ毛でないとすれば、スネ毛の伸びたものだろう」

知人曰く、
「別に陰毛でいいんじゃない?」

私曰く、
「断じて陰毛ではないと思う。きっと、ワキ毛かスネ毛かのどちらかだと思う」

知人曰く、
「陰毛より、ワキ毛とスネ毛のコラボレーションのほうが面白いね」

私曰く、
「やっぱり、それは、陰毛かもしれない」

 実に「不毛」な会話だったが、今もはっきりと覚えている。人間、どうでもいいことほど、クリアに覚えているものである。何の研究発表をしたのか、今では全く覚えていない。


(おしまい)


1年くらい前に書いた、自伝的短編小説の「再掲」になります。
「自伝的」なので、「自伝」ではありません。そこのところをお間違いのないように、くれぐれもよろしくお願いいたします💞。



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