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短編 | 見上げた先に

 トンネルを抜けるとそこは青空だった。わたしはまっすぐに進んできただけだ。どうやらいつの間にか、地球の反対側の世界へやって来てしまったようだ。

 太陽がまぶしい。急に明るいところへ出たので、目がその明るさに慣れない。しばらくして、ようやく辺りがハッキリ見えるようになった頃、誰かが私を驚いたような表情で見つめていることに気がついた。

「おーい、そこにいる人!今から梯子を用意するから、そのままちょっと待っていてくれ!」

 と彼が言ったように思えたわたしは、その場に座り込んで、ハシゴを待つことにした。

 ようやくハシゴが届いた。わたしは感謝の気持ちでいっぱいだった。ハシゴを持って来てくれた彼に「ありがとう!助かりました」と言った。

 それを聞いた彼は、怪訝な表情を浮かべた。彼は言った。

「●◎❌◎❌◎●●」

 わたしには彼の言葉の意味がまったく分からなかった。
 それを見た彼が、なにかオシロスコープに似た機械を取り出して言った。

「この穴は、タイムトラベル用に掘られたものです。どうやらあなたは、Age2023からお越しのようですね。あなたの時代の言い方で言うと、現在はAge3023なのです」


#宇宙SF #創作大賞2023
#ショートショート  
#ファンタジー

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