短編 | 着の身着のまま
突然部屋の中が真っ白になった。
何が起こったのか分からず、着の身着のまま部屋を出た。
あわてて出た廊下は、もっと真っ白で視界が遮られていた。
「火事か?」と思ったが、何か違う。よく分からないまま、とにかく出口へ急いだ。
「何事ですか?」
「いや~、四階の村松って奴がいるでしょ?あの人が酔っぱらって、寮にある消火器を全部開けちゃって。それはともかく、包丁を持ってわめいているから何とかしないと」
「こわいな。酔っぱらって包丁を持って、歩き回るなんて」
「あっ、部屋の鍵かけないで出て来ちゃった。友達から借りているスーパーファミコン、無事かな?」
「そんな心配してる場合じゃないと思うけど」
「いや~預かりモノだから、とりあえず見に行ってくる」
「やめとけって。今行ったらヤバいってば」
私は自分の部屋へ戻った。あっ、ゲーム機は無事だ。よかった。
次の瞬間、背中に違和感をもった。カーペットが真っ赤に染まった。私の人生がゲームオーバーになった。
(415文字)
https://note.com/tarahakani/n/n56321fa29924
記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします