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詩 | 風神の慟哭・雷神の嗚咽

私は風を司る女神として生まれた
春の風を凍てつく大地に運ぶ
恵みの風を生きとし生ける者に捧ぐ

俺は雨を司る神として生まれた
乾いた大地に潤いを与える
恵み雨を生きとし生ける者に捧ぐ

私はあの春に雷神に出会った
俺はあの春に風神に出会った
二人が出会った時に春雷を生んだ

稲穂がこうべを垂れるあの秋
二人は大喧嘩をした
大地に壊滅的な台風を引き起こした

二人は似たる者
穏やかさと激情を併せもつ
抱擁の春もあれば殴打の秋もある

大地の人々は
恵みの風も恵みの雨を忘れて
暴虐な神々として奉るようになった

風神が慟哭するとき
雷神は慟哭と嗚咽を拾い集めて
更に激しく大地に雨霰を叩きつけた

穏やかなる風よ吹け!
穏やかなる雨よ降れ!
人々は祈りの雨を待ち望んだ




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