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トルーマン・カポーティ「ミリアム」をよむ。(読書感想文)

トルーマン・カポーティ(川本三郎[訳])「夜の樹」(新潮文庫)には、9つの短編が収録されている。その最初の短編が「ミリアム」である。

カポーティといえば、「ティファニーで朝食を」や「冷血」などの作品が思い出されるが、「ミリアム」はとても幻想的な物語で、何回か繰り返し読んでも不思議な感覚に陥る。

ミリアムという少女はミセス・ミラーにとっては、実在の少女である。
出会いは雪降る日の映画館。そこで、ミラーはミリアムと出会う。

迷惑がりながらも、いつもミリアムのことを気にかけている。
白いバラ、アーモンド・ケーキ、つやつやしたさくらんぼの一袋まで用意してミリアムを待つようになる。
ミリアムの素性はよくわからないにもかかわらず。

最後の場面で、ミリアムを追い払おうとするが、ミラー一人では無理だと悟り、近隣の住民を自宅に呼ぶが・・・
その住民にはミリアムは見えなかった。

結局のところ、わたしにはミリアムがミラーの作った幻影なのかどうかわからない。しかし、いつか目の前に「ハロー」と言いながらミリアムが訪れるかもしれない。待ち遠しいような。怖いような。

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