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戦慄の腰掛け

最近、バラエティが面白い。

いや、元来バラエティは面白いものなのだが

最近は自分の中で好きな芸人がはっきりしたおかげで、出演番組単体だけでなく、日々のラジオやSNS、他番組の情報の繋がりや、プロデューサーや作家まで含めて楽しめるようになった。

あちこちオードリー

先日、舞台・オーケストラや、Netflixなどのサブスクサービス以外で、初めてお金を払って観る、という経験をした。

ゲスト:パンサー向井 の有料オンラインライブでは、バラエティの新しい姿、可能性を見た気がする。

(これはあくまでも、テレビ初心者の個人的意見であることを補足しておく。)

お金を払って来ていただける熱い熱量のあるお客さんたちの前で、120分近くトークするのはとても良かったと思います。反響もすごかった

有料コンテンツであること。配信であること。このシステムが特に良かったのだと思う。

ゲストの素を感じられる、腹黒い負のトーク。

不平不満、恨み、人間の悪をこれほどまでに楽しく披露した。

それはすごく「人間」で、1人の男として、また芸能界で生きる人としての、叫びとも取れた。

この後から「最近の向井は黒くていい」と色々なところで言われるようになったように、視聴者はテレビのマジックにかかる前の、まるで本音のような人間味のある言葉、つまり「同じ人間としての意見・感情」を求めているように感じた。

勿論バラエティであり、見せ物である以上、“本当にカットしない“佐久間といえど、色々なテクニックにはかかっているのだろう。

それでもだ。

負の共感は強い。深く記憶に残るし、単純に面白い。その人をもっと知ったような感覚になる。

悪の共感とリアリティ

人の心を強く惹きつける要因の大部分は、【共感・親近感】と言えるだろう。

そしてそれを得た瞬間、あたかもその人の全てを理解したかのような感覚に陥ってしまう。

それは、意外性の新発見であり、思い込みから来るイメージの擦りつけだ。

ここで、最近よく議論される、リアリティショーがよぎった。

リアリティショーが人気の理由として、登場人物が身近な立場であるが故の共感・感情移入のしやすさが挙げられると思う。

だからこそ、フィクション・ノンフィクションの境目が曖昧になり易く、登場人物の素、特に負の感情(腹黒さ)が表れてしまうと、バッシングの対象になることが多かった。

あくまでも、リアリティ“ショー”なのに。

一方、先述の向井の場合はどうだろう。

同じような負の感情や、腹黒さであっても、楽しい共感を生んだし、寧ろ身近に感じられる嬉しささえあった。

勿論、一般人、芸能人の違いや、その人の元々の性格という点が大きく影響してくる問題ではあるが、

別世界にいる人のリアルな本音(意外性・面白さ)

身近な世界にいる人のリアルな本音(イメージダウン)

とでは、例えば両者共に「あいつウザい」とコメントしたとしても、感じ方が大きく異なってくる。

負の感情を用いて、共感とリアリティ、そしてその面白さをどう生むか、

テーマは同じでも、共感に辿り着くまでのルートによって、感じ方がこうも変わることを覚えておきたい。

バラエティの形

バラエティが面白い。

本題に戻ろう。

オードリーの中京テレビのレギュラー オドぜひでは、かつてこんな企画があった。

全国放送を目指し営業に励んでいた中京テレビだが、いっそゲストにスポンサーや各放送局の営業、編成を出して話してもらおうという回。

少し前の放送ではあるが、このスタイルは新しかった。

中京テレビの真面目で人の良さそうな営業は、接待のコールまで披露したし、

ある地方局の営業は、中京テレビの推しの強さに負けて購入したものの、特に良いことがなかったと吐露。

演者が直接挨拶したことが放送の決め手となったと明かす局もあった。

編成は、改編の際は多数の意見に従うと言ったり、辞めようとしていたものの、社長が案外気に入っているという情報が入りコロッと意見が変わってしまったと言ったり。

フィクションのようなテレビの世界に見えた、かなり身近なリアル。

特にスポンサーが出演した回の番組YouTubeのコメント欄は、営業という仕事への共感や賞賛、現実の辛さを嘆く声で溢れていたように、確かに面白いバラエティだった。

演出を含むものの、スポンサーに深々とお辞儀をする演者や営業の姿を今まで観たことがあっただろうか。

ラジオのゆるさとスポンサー

テレビとラジオのあいだに笑いあり。

あちこちオードリーで、Creepy NutsのDJ松永が、
ラジオは完パケ、誰かに編集もされないし、自分で自分のケツを持てる
と話したように、ラジオに重きを置く芸人は多い。
(山里、若林の結婚発表が第一にラジオだったように)

リスナーと直で繋がっていることも、両者共に無作為の「リアル」を感じられるのだと思う。

そんな環境が今、テレビのバラエティに増えてきた。
ラジオのような自由でゆるいトークバラエティだ。

ここにはかなりの、まだ見ぬ笑いと視聴者が潜んでいるに違いない。

特にオードリーの周りには、レギュラーでラジオ番組を持つテレ東プロデューサーと、日テレ等の作家をする芸人が近くにいる。

うまくいいとこどりができているからこそ、あちこちオードリーのゲストはあそこまで話してしまうのだと思う。

お笑い、バラエティ、ラジオの化学反応を今後も自分なりに追っていきたいし、

※ラジオについて、テレビとラジオの違いについては、また改めて勉強の上、触れたいと思う。

さて、タイトルの【戦慄の腰掛け】

通称せんこし

かつてテレビマンを目指した春日さんの、フジテレビへの憧れを実現しようとした企画。

オードリーのオールナイトニッポンでの2011年頃のコーナーだ。

因みに、オールナイトニッポンの現在のメールテーマも

『オードリーの代表作になるテレビ番組企画案』


オードリーの代表作となりそうな番組企画の番組名・出演者・企画内容を教えてください。
若林ピン、春日ピン、コンビでの出演、どれでも大丈夫です。

そう、ただのリトルトゥース

としての記事なのであった。


それにしても、ラジオのスポンサーって、ニッチだなーと思う。
スポンサーになった経緯が興味深すぎる。
広告も、音声しかない分、かなりユニークで、深め甲斐がありそうだ。

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