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岩手出身のエンジニアが語る、地元に戻って感じた弱いコミュニティの必要性

PIAZZAのプロダクト開発チームで地域コミュニティアプリ「ピアッザ」のサーバサイド開発、生成AIによるチラシDX化サービス「チラデジ」の開発などを担当する佐々木さん。

社内ではDJやスナックのママ(?)としての一面もある謎多きエンジニアの佐々木さんに、地域コミュニティへの想いをお聞きしました。


地元とのつながりが嫌いだった思春期

ーーはじめに自己紹介をお願いします!

出身は岩手県の太平洋に面した小さな港町です。
幼い頃は漁師だった祖父が漁で使う網を手入れする船着き場で遊び、小学生になると友人たちと岸壁で釣りをしたり、山奥まで虫やトカゲを捕まえに行ったりして、門限を破って怒られたりしながら育ちました。 昭和の地方には掃いて捨てるほどいたであろう、いわゆる田舎のクソガキです(笑)

中学の授業で初めて触れたパソコンとプログラミングに興味を持ったことをきっかけに、大学はコンピュータサイエンスの学部を選択しました。

そこで初めてインターネットに触れてからは、授業そっちのけでホームページやシステム(今考えるとおもちゃみたいなものですが)を組むことに熱中していて、それがいつの間にか仕事になっていましたね。

ーー大学進学を機に地元を離れたんですか?

そうですね。
思春期の私は、地元の価値観やつながり(しがらみ)みたいなものが嫌いで、できるだけ早くそこから脱出することだけを考えていました。

あれから数十年後の今、(色々理由があったとはいえ)そんな地元に戻ってきて、リモートでお仕事しながらそこで生活しているなんて、当時の自分には全く考えられなったですね。

ましてやその地元の課題、それも「地域のつながり」に関する問題をなんとかしたいとか考えるようになるなんて、「人生何が起こるかわからないものだなあ」と自分事ながら面白おかしく思っています。

リモートで仕事をする佐々木さん

弱いコミュニティとしての場をつくる

ーー色々理由があって地元に戻られた、とのことですが、どのような理由があったのでしょうか?

個人的に実現したいこととして、「地域の人々が触れ合う場とそこから生まれるコミュニティ作り」と「地域の助け合いの媒介」の大きく2つがあります。

というのも、東日本大震災によって私の実家と隣近所の多くの家が全壊し、バラバラな場所に新しい家を建て、それぞれの生活の再建を余儀なくされました。これが、私が今地元に戻って生活している理由の一つです。

長年築かれてきた地域コミュニティが失われ、以前のような密接なつながりを取り戻すことが難しくなりました。

地元の友人や知人たちは、震災直後から避難所の運営、仮設住宅でのコミュニティ作りなどの震災復興に尽力していましたが、私自身は直接彼らと共にそれらの活動に携わることができませんでした。

そのことに対して申し訳ない気持ちがあり、いつかは自分も震災復興(もしくはその後の課題解決)に少しでも貢献したいという思いを抱えていました。

ーー地元に戻った今、何を感じているのでしょうか?

震災から10年以上が経過し、道路や建物などのインフラ整備といったハード面の復興はほぼ完了したと言われています。

一方で、コミュニティの再構築や人と人とのつながりの回復といったソフト面の復興はまだ道半ばで、住民同士の結びつきによる地域コミュニティの再建が重要だという指摘があります。

個人的な想いとしては、人と人とのつながりを基盤とした強いコミュニティの他に、誰もが気軽に立ち寄り、自然な交流ができる弱いコミュニティとしての「場」の存在も必要だと考えています。

そのような場があれば、そこから新たなつながりや、多様性を持ったコミュニティが生まれていくのではないかと。

ーーなるほど、「弱いコミュニティ」ですか。

数十年ぶりに地元に戻って生活する中で、以前は地縁や血縁を基盤としたコミュニティの中で行われていた助け合いが、震災による地域コミュニティの崩壊や、急速な高齢化と過疎化によって、うまく機能しなくなってきているのではないかと感じました。

車社会でバスなどの公共交通機関の本数が1時間に1本もない地域で大量の買い物袋を抱えてバス停に立っていたり、毎朝夕コンビニの惣菜を買い込んでいるお年寄りの姿などを見たり・・・

そういう私自身の体験から、誰かが自身の持つリソース(モノ、知恵、時間)を融通し、他の誰かがそのリソースに頼ること、友人・知人以外の「誰か」に助けを求めること、そしてその声に応えることのハードルを下げて、地域の助け合いを媒介する存在としてピアッザが機能することができればと思っています。これが弱いコミュニティとしての「場」にもなります。

すこぶる個人的な背景からの話になってしまいましたが(笑)、なにも被災地や過疎化や高齢化が進む地方の田舎町だけの問題ではないですよね。

性質上地縁や血縁のようなつながりが希薄な都市やその周辺、人口減少を考えれば将来的には日本全国どこでも発生しうる課題だと思うし、逆に、これらの課題を解決することがその街を活気ある楽しい場所にするためにとても重要なことではないかと考えています。

地域の助け合いを媒介する存在へ

ーー「ピアッザ」の話が出てきましたが、PIAZZAではどんな仕事を担当していますか?

サーバサイドエンジニアとしてお仕事をしています。 主な業務は、地域コミュニティアプリ「ピアッザ」のサーバサイド開発、生成AIを利用した紙チラシDXサービス「チラデジ」の開発、技術基盤整備などです。

「ピアッザ」のサーバサイド開発では、9年以上運用されているRuby on Rails製のバックエンドに対して、新しい施策に伴うエンハンスを行いながら、リファクタリングや技術的負債の返済に取り組んでいます。

ユーザーの利便性を高めるための機能追加や、システムの安定性・保守性を向上させる改善を日々行っています。

ーー生成AIで街のイベントチラシをデジタル化する「チラデジ」も佐々木さんが開発を担当されているんですよね。

そうです。
もともと個人的な興味で生成AI周りの動向をウォッチしていたところ、社内のSlackで共有されていた課題を元にPoCを行いました。

その後、社内有志でプロトタイプ開発を進めて正式にプロダクト化するに至りました。 チラデジでは、生成AIの技術を活用して紙チラシのデジタル化を促進し、地域の情報流通の効率化を目指しています。

技術基盤整備の面では、クラウドインフラのメンテナンスやそれに伴うコードベースの改修、サービス監視の仕組み化や、各種メトリクスを元にしたパフォーマンスの分析・改善の推進、新機能を実現するための技術選定や検証などを行っています。

あと、目下試行錯誤中ではありますが、チームビルディングや開発者体験の改善などにも取り組んでいて、スクラムをベースとした開発プロセスとその改善、AIコードレビューの試験導入など、新しい技術やツールを積極的に取り入れ、開発の効率化と品質向上を図っています。

ーー「できるかも?」をどんどん形にしてみて、それを実際にプロダクト化するってすごいですね!佐々木さんの存在がプロダクト開発チームを大きく成長させているんだと感じました。

最後に重要な役割の一つとして、Slack絵文字追加おじさんとしての活動があります。

社内のメンバーの沸き立つエモーション、その一瞬の感情のきらめきを逃さず、社内のコミュニケーションにスムーズに反映できるよう、日々カスタム絵文字の追加に邁進しています。

佐々木さん作のSlack絵文字(お気に入りを選んでいただきました!)
相槌の細かいニュアンスを伝えるためのこだわり

やりたいことや、やらなければいけないことがまだまだたくさんあり大変な部分もありますが、それぞれどれもやりがいのある面白い仕事だと思っています。

2つの安心感を得られる広場へ

ーー最後に、「ピアッザ」という広場を、これからどんな場所にしていきたいですか?

強いつながりを持つコミュニティと、その苗床となるような弱いコミュニティとしての「場」になればよいなあと思っています。

個人同士のつながりから得られる安心感と、それとは別に「人がいるという実感」から得られる漠然とした安心感の両方が感じられるような、ある種の喧騒とにぎわいがある場所であってほしいです。

また、新しいつながりやセレンディピティに出会える場所であれば良いなあとも思っています。

私自身、20代後半の精神的に落ち込んでいた時期にとあるSNSを介して新しい仲間と出会い、今でも大切な友人付き合いが続いています。

彼らとの出会いは、それまでの自分の人生に無かった新しい体験や、それまで気づいていなかった自分の新らたな一面の発見のきっかけにもなりました。

ピアッザには地域のさまざまなコミュニティが存在し、それらを人々が流動的に行き交う場所であってほしいです。

そこは開放性と閉鎖性のゆらぎのなかにあり、誰もが心地よく過ごせて、思いがけない出会いに満ちた、地域に欠かせない「広場」なのだと思っています。

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