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【独白するユニバーサル横メルカトル】平山夢明

※インスタに投稿した記事より、一部加筆修正してお届けいたします。



 もうね、一言で端的に感想が言える本です。
「グロい!」
 それで済ましてもいい本ですが、長文レビューを書くアカウントなので、もう少し掘り下げてみます。

 この本は、8編から成る短編集ですが、どの作品も、これでもか! とばかりにグロい描写のオンパレードです。
 もう、何と言えばいいのか……全作品を通じ、ドス黒い色彩の中に腐臭が漂い、糞尿や吐瀉物にまみれ、断末魔の叫びが聞こえ、血と臓物に手を突っ込むような、生温いヌメリの感触が伝わってきます。
 これほど気持ち悪い本は、なかなかないと思います。(褒め言葉です💦)

 でも、逆に言えば、文章だけでここまでのグロさを表現出来ちゃうんだ! という発見でもあります。スプラッター系の動画を観るより(観たことありませんが)、多分ずっと生々しいと思うのです。
 それって、何気に凄いことではないでしょうか?
 だからこそ、苦手な人、耐性のない人には、決して勧めてはいけない本でしょう。

 でも、それだけではないのです。なんとも言えない矛盾ですが、癖になるのです。
 と言いますのも、グロさの中にも、時に知的であったり美しかったり、ちょっとした驚きやどんでん返しがあったり……いつの間にか、夢中で読み耽っておりました。

 あと、世界観はどれもぶっ飛んでおりますが、かなり独創的ですし、魅力的でもあります。
 僅か数行で、その世界にどっぷりと浸かってしまうのです。その筆力、描写力、そして設定の妙には、感嘆するしかありません。
 変なレビューになりましたが、私は色んな意味で刺激的でしたし、総じて面白かったです。

 中でも、『Ω(オメガ)の聖餐』『無垢の祈り』『オペラントの肖像』、そして、表題作の『独白するユニバーサル横メルカトル』は、かなり気に入ってしまいました。
 ただし、特に『Ω(オメガ)の聖餐』は、食前食後に読むのは避けた方が良いと思います。



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