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【まともな人】養老孟司

※インスタに投稿した記事より、一部加筆修正してお届けいたします。


 2003年に出版された本です。
 当時、ベストセラーになった『バカの壁』を読んですっかり養老孟司先生のファンになった私は、この本も発売されて直ぐに購入し、一気に読んだ思い出があります。
 しかも、「バカの壁」よりずっと敷居が低く読みやすくて、考え方とか生き方とか、かなり感化された時期もあったように思います。
 結局は、一過性のものでしたが💦

 特に理由はありませんが、つい先日、急にこの本を読み返してみたくなり、16年振り(※)に手に取りました。内容は、基本的には、政治、教育、経済、国際社会、そして、時々先生の大好きな昆虫の話題をテーマにした、2001年〜2003年の時評エッセイと言えるでしょう。

 小泉内閣、9・11、同時多発テロ、地球温暖化など、懐かしいトピック(忘れてはいけないことでしょうが)が盛り沢山。そこに、短文でテンポ良く切れ込む論調は、今読んでも切れ味抜群です。
 そして、本質を突いてるからなのか、今の社会でも通じる理念が沢山書いてあり、また部分的には予言が当たったとも受け取れるような警笛を過去に鳴らされていたことが分かります。
 ただ、時に論点の突拍子もない飛躍に置いてきぼりにされたり(私が付いていけないだけなのかな?)、ちょっとそれは強引な断定では? と思ったり……。
 老人のぼやきっぽい所もあるのに、嫌な老人、いわゆる老害爺さんの自分本意な思い上がりにはならず、その愚痴さえも知的でエレガントなのは流石です。

 また、全編を通じて、未来を担う子ども達への優しい眼差しが感じ取れたことが、当時には気付かなかった新たな発見です。
 そう言えば、16年前の私にはまだ子どもがいなかったことに気付き、この本を読んだのはそんなに前のことだったんだと改めて突きつけられ、ちょっと呆然としました。

(※)2019年12月にインスタに投稿した時の文面を、一部加筆して再掲載しています。


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