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自分?自分じゃない?

10年以上前に地元に戻って、新しい生活が始まって荷物の片付けも終わった頃のある日、
「何か作らなきゃ!!!!!!!!!」と唐突に、でもとても強烈に思い、はやる気持ちを抑えて本屋に駆け込んで、手作り本を貪るように読んだ。

なぜそんなことを突然思ったのか。
なぜあんなに強烈にそう思ったのか。
なぜすぐに行動に移せたのか。                    なぜあのタイミングだったのか。
なぜ手作りのものだったのか。
本当にひとつも、全くわからない。

なんのきっかけもない。突然急ぐ理由も皆無。(だいたい突然急ぐっておかしいし)不器用で裁縫もロクにできないし、細かい作業は苦手。だからこれまでに手作りなんてやったこともなく、手作りの世界は一番縁遠く、今後もボタン付け以上はほぼ無縁と思っていたから、説明がつかない。

結局その時は、消しゴムはんこを始めた。
なぜそれを選んだかは覚えてない。でも、薄い記憶で、「これだ!」と思い、とても本気度の高いワクワク感があったことだけは覚えていて、やった事もないのに、早くやってみたい!早く!!!ってさらに気が急いた。
そこからはトントン拍子に進み、消しゴムはんこやろうとしてて、と話した叔母が「消しゴムはんこキット一式が未使用で自宅にある」と譲ってくれて、やってみたら簡単だったから楽しくて無心で彫りまくっていたら、知り合いに教える機会もできて...と今思えば、まるで天職に出会って短期間に起業で成功した人、みたいな展開だった笑

消しゴムはんこを選んだ時、どういう思考だったのかを覚えてない。これまでの私なら絶対「後ろ向きな消去法」なハズで、苦しんで絞って「これなら不器用で未経験な私でもできるかなぁ・・・・」みたいな思考だったハズなんだけど、やろうと思ってからのワクワク感や始めてからの没頭度合い、意識なく話したことで、やりたいことがやりたい方向に進んだり(キットもらえた)、思いもしなかった嬉しい方向にも進み(自宅でミニ教室を開催)、その教室では毎日会うママ友が消しゴムはんこを楽しんでいて同じ本を買っていたことがわかって仲間が見つかったり。あの時の自分は自分でなかったような、とても不思議なことの連続だった。

そこまで自然にドハマりだったけど、仕事が忙しくなって趣味で終わってしまった。たぶんそのあたりから自分で「これで食べて行けるわけじゃないし」とか「こんなレベルじゃただの趣味」と決めてしまったと思う。その本の先生に会いにかなり遠方に出掛けてまで習ったくらい情熱があったのに。作ったものを見せた友人や親族から「作ってほしい」と頼まれ、いくつかは代金を支払うと言って実際に頂けたりもしたのに。

今は老眼になったので(笑)、手芸用メガネを新調して再開しようかな、と目論見中。本当は最優先でやるべきことがあるんだけど、これまでそうやって、生真面目に「べき」で生きてきちゃったから、自分の気持ちを大事にしながら、同時にやってもいいんだよ、と自然に思えるといいなぁ。まだ、「べき」じゃなくて・・・と思い直してる。

そういえば地元に戻った時も、私としては住む場所は特に地元でなくても良くて、試行錯誤の結果、最善が地元だったという展開で戻っただけ。という感覚だったのに、引っ越してきた時、ものすごく強烈に「帰ってきたーーー!!!」って叫びたいような気持ちになったなぁ。あれも、自分だけど自分じゃないみたいでとても不思議だった。

またあの時の、自分だけど自分じゃないみたいな、スポーツ選手でいうゾーンみたいな??あの不思議な感覚になれるとめちゃくちゃ楽しいだろうなぁ。

このイラストの鳥は、「コレラが流行った頃に山梨に現れたという、頭がふたつの不思議な鳥。朝夕仰ぐとコレラの難を逃れると話したそうです」と説明がありました。優しい色合いでなんだか和みます。ありがとうございます。


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