【音楽×小説×絵】妖精たちの降下
その人物は長い長い旅路の後、ある惑星に降り立った。
空を見上げると、いろんな妖精たちが舞い降りてくる―――雫のかたちの顔をしたおもちゃのような妖精。しっぽに火が燃える猫のようなライオンのような妖精。天使のような羽のある平べったいこんにゃくのような妖精。呪文を唱えるかわいいイエティのような妖精。
その人物は、少しの間目を閉じながら感傷に浸る。その情景は、まさに古今東西のファンタジー百科事典だ。
再び目を開くと、白くて冷たいけど柔らかい小さな粉の塊が、無数に降ってくるのが見える。何十年振りだろうか。自分の縁の地である惑星―――地球を長く離れていたせいか、その懐かしさと美しさに感慨にふけっていた。
その妖精たちの正体―――それは雪だ。
『ドビュッシー / 雪は踊っている』
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