PianoRobot

小説のようなエッセイ。エッセイのような小説。

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最近の記事

このまちに行きたいけど、わたしにはハッカーの資格がない。

 よし、今日もうまくアバターを“乗っ取る”ことができた。  ぼくはいつものように、お手製のプログラムを走らせると、画面がアバター視点に切り替わるのを待つ。  毎回、この瞬間のワクワク感がたまらない。  他人のアバターをコントロールするプログラムを書いてる最中も、楽しいことは確かだ。いまでは、誰もがアバターを持ち、日常生活でバーチャルとフィジカルを自由に行き来する生活をしている。そのアバターをハッキングする=乗っ取ることはつまり、その人の人格を支配することに他ならない。そ

    • 【小説×音楽】宇宙人侵略譚

      「おい、起きろ。また奴らの攻撃開始だ。」  同僚に叩き起こされて俺は飛び起きると、急いで身支度を整えた。 「奴らは何機だ?」 「よくわからない。恐らく100機以上は確実だ。しかも、戦闘能力が高い乗組員の『ダイオウイカ』型が多い。」 「本当か。『タコ型』や『イカ』型ならどうにかなるが、『ダイオウイカ』型となると、かなり厄介だな。」 「とにかく急いで準備しろ。一旦奴らの人類への攻撃がはじまったら、収拾がつかなくなる。その前に先手必勝だ。」 ♦  そう、あれは2カ月前のこと

      • 【小説×音楽×絵】「デジタル省」創設…!

         ここはヱヱヱヱ国政府中枢の建物。  その建物はとても高く、上のほうは雲がかかっていてよく見えない。  階ごとに立派な金ピカの鯱鉾を備えた屋根がある。AR越しで視るとそれら鯱鉾がたくさん泳ぎ回り、屋根は大海原の波のようにうねっている。 「よし、それでは行ってくる。」  その建物の1階で働くアアアア大臣は、秘書にそういうと、鏡でちょんまげと羽織の折り目を整え直す。 「大臣、今日それ何回目ですか?」 「まあ見た目は重要だからな。今や昔の武士とは違うのだ。」  そうはいっ

        • 「FF7R」の舞台=「火星」説?

          「所長、例の惑星から傍受した電波を、ようやく解析できました。」 「お、それはよかった。早速状況を報告してくれ。」 「はい、まずこちらの画像データ①をご覧ください。」 【画像データ①】 「どれどれ。下半分は一様に覆われた個体物質で、上半分は所々液体成分が多く含まれる気体が覆われているいるようだな。恐らく、その惑星の上空を記録したものではないかな。」 「はい、そう思われます。仰るように平坦な情景ですが、右上空部に飛行物体らしきものが見て取れます。乗り物か、生命体でしょう。」

        このまちに行きたいけど、わたしにはハッカーの資格がない。

          【音楽×小説×絵】妖精たちの降下

           その人物は長い長い旅路の後、ある惑星に降り立った。  空を見上げると、いろんな妖精たちが舞い降りてくる―――雫のかたちの顔をしたおもちゃのような妖精。しっぽに火が燃える猫のようなライオンのような妖精。天使のような羽のある平べったいこんにゃくのような妖精。呪文を唱えるかわいいイエティのような妖精。  その人物は、少しの間目を閉じながら感傷に浸る。その情景は、まさに古今東西のファンタジー百科事典だ。  再び目を開くと、白くて冷たいけど柔らかい小さな粉の塊が、無数に降ってくる

          【音楽×小説×絵】妖精たちの降下

          【小説】荒唐無稽神出鬼没百花繚乱な惑星種族

          「はぁ~それにしても退屈だ。何かもっと面白いワクワクドキドキするような惑星は見つからないかなー」  ここは宇宙船の中。操縦席には、暇すぎて死にそうな船員が2人。ただっ広い宇宙で、まだ発見されてない知的生命体を探索するのが船員たちの役目だ。  平船員は、退屈しのぎにホログラム型の雑誌のページをスクロールさせながら、そう呟いた。 「まぁそうそう見つからないでしょ。我々と似たような生存環境にしたって、文字通り星の数ほどあるんだから。」  リーダー船員は、あくびを漏らしながら、窓の外

          【小説】荒唐無稽神出鬼没百花繚乱な惑星種族

          バー&ジェラートのお店で飲むカクテルシリーズ②

           むかしむかし、あるところに、世界征服をたくらむ種族がいました。  最初は、地球上の隅っこのちっぽけな存在でした。しかも、あらゆる天変地異が来ようとも、その場所から動くことはほとんどできません。 ある程度の集団で過ごしていましたが、その数のたかがしれており、遠く離れた別の集団が何を考えてるのかも分かりませんでした。  ところがある時、別の生き物がそのその種族を別の地域に運び始めたのです。  その生き物は、ご丁寧にもその種族を細かく分け、とても広い地域で子孫繁栄を手伝ってく

          バー&ジェラートのお店で飲むカクテルシリーズ②

          盆栽割烹

          「いらっしゃい、今年もよろしくお願いします!」  予約したそのお店の扉を開けて中に入ると、店主がいつものようにハキハキとした口調で挨拶してきた。  昨年末以来のせいか、少し久々な感覚だ。 「こちらこそ。今日のホームページにあった鰆のランチ、あります?」 「大丈夫ですよ。今日も最初に日本酒からいきます?」 「ええ、ぜひ。」  席へ案内されて座ると、店主はすぐに今日の《最初の一杯》を瓶ごと持ってきて、お猪口に注ぐ。 「『鉾杉(ほこすぎ)』の生純米酒です。おりがらみ、つまり微発

          盆栽割烹

          バー&ジェラートのお店で飲むカクテルシリーズ①

           海。少なくとも、その妖精たちにとっては。  彼らの住む惑星は、多種多様の海に満ち溢れている。  それは、暖かい海、冷たい海、波で荒れ狂った海、などに限らない。  その妖精は、母船からその海を見下ろす。蒸しかえるような暑さの土地。しかし、その海の区画は冷たく、ほぼ0°に近い気温。水分は少なく、ほとんどが細かい氷の塊で覆いつくされている。  そして、なんといっても特徴的なのは、海面付近と積層された氷の上部から下部にかけて全面に覆い茂る緑の植物。わずかな水分を頼りに生きながらえ

          バー&ジェラートのお店で飲むカクテルシリーズ①