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仏さまにさそわれて

久保さん、皆さん、こんにちは。
南波です。

連日苦しくなるほどの暑さでしたが、いかがお過ごしでしたか。
今朝は雨が降ったり止んだりの奈良ですが、ムシムシするばかりで、まだ涼しくなる気配はありません。

久保さん、読み聞かせ、ずっとされているのですね。いいですね。
やぎゅうげんいちろうさんの絵本は私も大好きです。
うちには『おなべふこどもしんりょうじょ』と『おっぱいのひみつ』があります。他にもたくさん図書館から借りてきて、息子が小さな頃には何度も読みました。
何年か前に、我が家の『おっぱいのひみつ』が、背表紙をわざと奥にされて本棚に突っ込まれていたことありました。タイトルを見ただけでなんとなく恥ずかしい気持ちになる人が、その頃、うちにいたのかもしれません。

学校での読み聞かせは、私もずっと前にしたことがあって、特に記憶に残っているのは、『あさになったのでまどをあけますよ』という、荒井良二さんの絵本を読んだ時のことです。
1年生の3学期で、みんながひらがなを書いたり読んだりできるようになった頃。

『あさになったのでまどをあけますよ』荒井良二
「かわは やっぱり ながれていて さかなは きっと はねていて
だから ぼくらは ここがすき」

「あさになったので まどをあけますよ」「きみのまちは はれてるかな」と、途中から、子どもたちが一緒に声を合わせて読んでくれたのでした。さあみんなも一緒に、とこちらが誘ったわけではなくて、本当に自然に、ふわっとみんなの意識が絵本の中にとけこんで、いつの間にか繰り返しの言葉を一緒に唱えてくれていたのでした。
そこだけ魔法がかかったみたいな、特別な時間と空間になりました。

中学校で学校司書をしていた頃は、生徒に「絵本の読み聞かせ講習」というものをする機会がありました。
コロナ以前は、家庭科の実習で中学生が近くの保育園に行くことがあったのです。そこで小さな子どもたちに絵本を読んであげる時、どんなことに気をつけたらいいか、読み聞かせに適した絵本の選び方や、ごく基本的なこと(絵本の持ち方やページのめくり方など)を説明して、何人かの生徒に実際に読んでもらうという授業をしました。
その時、担任の先生にも「一冊読んでください」とお願いすると、中学生の子どもたちはみんなニヤニヤするんですね。そして先生は張り切って読んでくださる。その時の光景も忘れられない、大切な思い出です。
年頃ですからみんなの前で絵本を読むなんて恥ずかしくてできない、という生徒もいて、目を逸らしたり声が出なかったりする、そんな姿も、眩しくて美しかったです。

自分の子どもが大きくなって、絵本を読むことはめっきり減ってしまったのですが、最近久しぶりに一冊、買いました。

『仏像えほん ぼくとぞうの有頂天たび』店橋花里

これ、ものすごくわかりやすいんですよ。知りたかったことがわかる。
仏さまの4グループ「天」「明王」「菩薩」「如来」の、それぞれの役割や姿の特徴がわかり、身につけているものやポーズの意味がわかり、仏教の教えの中心にあることについてもわかる、そんな絵本です。
カバーの袖の部分には、「有頂天ってなあに? 天・明王・ぼさつたちの住む世界のいちばんてっぺんのこと。この上には、にょらいがいるよ。キミのいる世界では、物事に熱中して夢中になることや、うれしくてまい上がる気持ちのことをいうね。」と書いてあります。これを読むだけでも「ワーオ!」って思うでしょ。

奈良に住んでいると、仏さまに会う機会がたびたびあるんですけど、そのたびに「どうしてこのメンバーでこのフォーメーションなんだろう」「この手に持ってる草みたいなのは何に使うんだろう」とか、わからないことばかりで気になっていたんです。それが、この絵本を読むと「そうだったのかあ」とわかる。
細かな解説が多いので読み聞かせには適しませんが、おうちでじっくり、仏教や仏像についてはじめて学びたい人にはぴったりの絵本です。

ついこの間も、息子と東大寺ミュージアムに行ったのですが、この絵本を読んでいたおかげで、四天王や日光・月光菩薩、千手観音などの像をとても楽しく興味深く見ることができました。
日光菩薩さまがとてもとても美しかった(もともとは梵天として作られたのでは?という説もあるそうです)。ミュージアムショップでポストカードを買いました。

こちらはおなじみ金剛力士の阿形さんです。この方も「天」に属する仏さまなんですね。そして怖い顔をしているのは、如来を守る門番としての務めを果たすため。そう思うと以前よりずっと愛おしく見えてきますし、作った方たちの心を想像するのも面白い。

でも、この日は最初から東大寺を目指していたわけではなく、息子と「行ったことのないお蕎麦屋さんに行こう」と出かけただけでした。
けれど、目当てのお店には「売り切れました」の看板が出ていてお蕎麦は食べられず、仕方ない、ほかに美味しそうな店はあるかしらと歩き出したら雨が降り出して、逃げ込むように入ったのが東大寺ミュージアムでした。

その昔、久保さんに「南波さん『大仏日記』を書いてよ」と言われ、「大仏はそんなに興味ないから、久保さんに手紙を書くよ」とこたえて『しいたけ園×ブロッコリー』が始まったわけですが、2nd season にしてやっと、仏さまとの距離がじわじわと近づいてきました。不思議ね。

そしてなんと、奈良国立博物館での次の展示はこちらだそうですよ。行かねば。

まだまだ夏はつづきます。
皆さん、水分も睡眠もたくさんとって、元気に過ごしましょうね。

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