この雨が全てを洗い流してくれればいいのに

カバンにスマホをしまい込んだまま、ぼーっと電車の中を眺める。電車の窓に、死んだ目をして立っている自分が写っている。顔をよくよく見ると、前髪が乱れているなと思う。でも、手袋を外すのが億劫で、そっと見ないように俯いた。

降ったり止んだりする雨だった。朝は結構降っていたように思う。ザーッという音で目が覚めたから。夕方より少し前に出かけたら、霧のような雨が降っていた。折り畳みの傘を広げたけれど、手袋をしていたからうまく広げられず時間がかかる。あんまり次の予定まで時間がないのに、変なところでもたついてしまった。

街も電車も閑散しているような気がする、と歩きながら思う。ふとgoolemapを見ると目的地とは逆方向に進んでいた。スマホ対応の手袋なのに、反応が悪くてつい、眉間にシワがよる。

目的地にやっとついたけれど、予定よりも少し遅くついてしまった。手袋を外して、手を洗う。全て全て、何もかもをこの雨が洗い流してくれればいいのに。