『本所おけら長屋(十七)』誕生秘話!<番外編>
9月22日発売の『本所おけら長屋(十七)』は、累計140万部突破の人気シリーズ第17弾。今回は、畠山健二先生の初代担当編集者でもある広報担当者に、最新巻の魅力を語ってもらいました。
2013年7月の第1巻刊行以来、江戸は本所界隈の貧乏長屋を舞台に、"笑いと涙"の人情小説として人気を博してきた「本所おけら長屋シリーズ」。落語テイストのテンポのいい会話とやさしい文章で綴られた物語は、女性読者が6割を超え、小学生から高齢者まで幅広い年代に支持されてきました。
著者の畠山健二先生は、各巻ごとにその時々に合った「裏テーマ」を設定されます。今回は四つのストーリーから、夫と妻、親と子など、"家族のつながり"にスポットを当てました。長引くコロナ禍で、「家族」のあり方にも変化が起こりつつあるいま、江戸人情の世界から、身内同士の心と心の葛藤や触れ合いについて、楽しみながら考えさせられる17作目のシリーズ最新刊です。
『本所おけら長屋(十七)』では、「かえだま」「はんぶん」「げんぺい」「みなのこ」の4篇を収録しています。母を探しにきた三河商人のため、長屋の面々がなんとかしようと一計を案じる「かえだま」、鉄斎が大店に婿入り⁉ さまざまな男と女の誤解や思い込みが意外な展開をみせる「はんぶん」、見世物小屋での大当たりがお栄の従兄父子の亀裂を癒す「げんぺい」、亀吉が友達の目にケガをさせた! 子供を守る大人たちの思いが交錯する「みなのこ」……。
これら四つの物語を通してお馴染みの登場人物たちが織り成すのは、子が母を慕う気持ち、双方の親族を巻き込んでしまう夫婦の難しさ、仲たがいした父と子の心の真実、親が子供を守るとは何かといった、いまに通じるテーマです。貧しい長屋の住人が群れ合って生きた江戸下町の人間模様が、家族ですら深くかかわることをはばかる現代の私たちに、大切な示唆を与えてくれます。
親の在宅勤務、子供のオンライン授業などの影響もあってか、勉強で忙しい10代から、仕事や子育てに忙しい30代まで、「本所おけら長屋」人気は若い世代にも広がっています。前作16巻は、発売1カ月の売上げ部数がシリーズ最高を記録しました。子供から父母、祖父母と三世代にわたって楽しんでいただけるシリーズです。未読のみなさま、まずは17巻から手に取ってみてください。
マーケティングコミュニケーション部 広報課 根本騎兄