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ポートレートの撮り方-Environmental portrait編-

こんばんは。林です。
今回はポートレートの撮り方、特にEnvironmental Portrait(環境ポートレート)と呼ばれるジャンルで、自分が撮るときに心がけていることを書いていこうと思います。

environmental portraitとは

Wikipediaによると、
An environmental portrait is a portrait executed in the subject's usual environment, such as in their home or workplace, and typically illuminates the subject's life and surroundings. The term is most frequently used of a genre of photography.

つまり被写体にとって馴染みのある場所で撮られたポートレートのこと、とあります。

By photographing a person in their natural surroundings, it is thought that you will be able to better illuminate their character, and therefore portray the essence of their personality, rather than merely a likeness of their physical features. It is also thought that by photographing a person in their natural surroundings, the subject will be more at ease, and so be more conducive to expressing themselves, as opposed to in a studio, which can be a rather intimidating and artificial experience.

ええと、簡単に言うと馴染みのある場所で撮ることで個性も際立つし、スタジオみたいに緊張しないでその人自身が出やすいよねってことですね。

難しく書いてありますが誰もが撮ったことのあるポートレートではないでしょうか。初めてカメラ買った時に家で母を試し撮りしたのもenvironmental portraitですね。

これを得意とした最強クラスのフォトグラファーはアーノルド・ニューマンなどですね。ピカソとか撮ってます。

す、すごい。。

誰もが撮るジャンルの写真でありながら、最近すごく奥が深いなと思っているので反省を込めて撮り方を書いていきます。

environmental portraitの撮り方

①被写体について調べる
撮ることになったらまず被写体について調べます。
有名な人なら、
・過去にその人が撮られた写真を検索して見て、自分ならどうもっとよく撮るか考える
・著作やインタビューなどを読んで、どのような考え方を持った人か知る
有名じゃない人なら
・そのジャンルの人がどのように撮られているか検索してみる
・今ある情報から性格などを予想してみる
などをやってみます。

②どんなシチュエーションで撮るか決める
これは仕事の場合なら初めから決まっていることも多いでしょう。
自分で決められるなら、その人にとって馴染み深い場所をヒアリングするなどして決めます。
ファッションなどでは馴染み深さは関係ないと思うのですが、おそらくenvironmental portraitを考える上では馴染み深いということが重要な要素な気がします。

③撮る場所をロケハンする
もしその場所に事前に行けるなら、出来る限りロケハンします。
時間がなければ現場に30分前に入るだけでもOK。
少なくとも一度見て、自分にとっても少しでもその場所を「馴染み深く」\しておきます。
同時に、光や物をよく観察して、どこに被写体を配置するのが一番いいか見ます。
もしほかにアシスタントなどの人がいれば、スタンドインしてもらい④、⑤の作業をします。

④被写体の配置を決める
被写体を適切な場所に配置するため、スタンドインで場所を決めます。そのときの順番は下記のような感じ。な気がする
・被写体にとって馴染み深いものがある場所を探す
・光の状態を見て、物はいいが光が微妙な場合にはものを移動させる
・ものは被写体に持ってもらうのがいいか、などものと被写体の関係を考える
・余計なものはどかす
・構図を考えて物の配置を決める
・被写体を配置する
・被写体の位置は決めるが、ポーズは指定しない。ただ何らかのポーズが自然に生まれるシチュエーションを考えておく、又は後ほど考える

⑤構図、カメラ設定を決める
まず被写体を配置せずとも背景だけで成り立つような美しい構図を定め、続いて被写体を配置して確かめます。
このとき三脚があったほうがベターです。
カメラ設定はお好みですが、概ねレンズは24-50mm、F4-7.1くらいで撮るといい気がします。ある程度広角でないと環境が映らず、やや絞らないと背景がボケすぎて環境の意味が伝わらなくなるためです。
ここまでやったら被写体の登場を待ちます。
最初から被写体が待ち構えている撮影はこの作業が後手に回るので大変です。。

⑥被写体とコミニュケーションをとる
実際に被写体に会ったら、撮る前にまず挨拶をし、出来る限りコミニュケーションをとります。
特に仕事の写真だと、フォトグラファーとして現場に入った時はそれほどコミニュケーションをとらなくても撮影出来てしまう場合も多いです。
ただ経験上、少しでもコミニュケーションをしておくことで、単純な「真顔or笑顔」以上の被写体の表情を引き出せる気がします。
自分は人見知りなのでここが一番苦手ですが。。

⑦被写体の癖を探す
その人らしさを写すために効果的なのが被写体の癖を写すことだと思っています。
話す時に左の肘を触るひと、考え事をするときに一瞬窓の方を見る人、など被写体には必ず癖があります。ここまで大きい癖でなくても、その人の特徴となる部分を探します。
二言三言話すだけではなかなか癖は現れません。かといって長々と会話するのが難しい場合も多いです。
自分の場合は、インタビュー撮影などでインタビューとポートレートが必要なときは、必ずインタビューを先にやってもらうことにしています。その方がインタビュー中に癖を探せるからです。
癖を見つけたら、その癖が写真を撮る上で魅力的か、魅力的であればどのような条件で癖が顔を出すかを観察し、ポートレートを撮る際にどのような声かけをすればその癖が出るかを考えます。
ここで上手くいかないと判断した場合は、ポートレートの際は笑わせることだけ考えますw

⑧ゆらぎを作る方法を考える
事前に準備しても良いのですが大体実際にポートレートを撮る直前になるのがこの作業です。
その人らしさを写すには、普通な自分を作れない環境が必要だと思っています。例えば、ビジネスの場でも急に驚かされれば「TPOに応じた驚き方をする」のは難しいです。被写体が素になる瞬間をいかに生み出すかを考えます。
もっとも簡単なのが笑わせることですが、笑わせ方はフォトグラファーのキャラクターによると思います。大事なのはこちらが緊張しないことだと思います。が、難しい。。

⑨撮影する
あとはここまでの考察と観察をフル動員して、出来るだけ被写体の自然さを引き出しつつ撮影します。
あまり時間はかけすぎない方がいい気がします。
相手が撮られるプロなら時間かけてもOKです。

さいごに
以上、自分が今まで写真を撮ってきて感じたenvironmental portraitの撮り方のコツです。
これが全部出来たらいいなと毎回思いつつ、大体半分もできません。。

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