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決めてないなら ACROS で。


どこに行こうか。何を撮ろうか。
決まってないなら ACROS で撮ればいい。
好きなカメラとレンズでモノクロに設定してしまえば、心地よくその世界へ導かれるはずだ。

もう10年くらい使っているお気に入りの Champion のショルダーバッグには、常備、財布とgloが入っている。そこに X-E4 と予備バッテリーを入れて玄関を出る。手袋をはめながら足先をトントンとNIKEの靴を履き、宛もなく東へ歩き出した。
ラーメン屋を過ぎたところで右折し、日本一長い国道四号線の、歩道を歩く。大きなトラックが背後から通過していくと冷たい風に背中を押され、マフラーして来なかった事を少し後悔した。


赤い自動販売機で温かいコーヒーを買った。
――百円玉で買える温もり
熱い缶コーヒー握りしめ――
尾崎豊の15の夜のワンフレーズを思い出しながらアルミの蓋を回し体の内部から温めた。


とりあえず駅の方へ行ってみよう。
そう考えて国道四号線を横断して新白河駅へ向かった。歩いていると靴の中に極々小さな石が入り込み、足の裏に不愉快な刺激を与えてきた。こんなにも小さいくせに、その存在感のアピールは何よりも大きい。

駅に着くと貨物列車が通過中だった。

レタッチありの写真

咄嗟だったのでピント合わせる間が無くピンボケしてしまったが、それがいい。さらにレタッチして、らしさを強調してみた。普段 note ではレタッチしてないJpeg撮って出しを載せているのだが、この1枚はレタッチしたくなった。

改札口にたどり着くと慌ただしく早足に歩く人達に出くわした。電光掲示板に目をやると新幹線の発車時刻が間近に迫っていた。

1時間も歩くと、かなり汗ばんできて、マフラーして来なくて正解だったと思えた。先程の後悔は撤回しよう。
駅の正面玄関の方へたどり着くと、スーツケースの車がもぎれてしまうのではないかと心配するほどの勢いで走ってくる女性とすれ違った。
新幹線の発車に間に合うといいね。
私は励ましのような、祈りのような、そんな言葉を心の中で呟いた。

来た道とは別のルートでまた国道四号線へ向かってみる。左腕のGショックで時間を確かめると10時を過ぎていた。開店準備に精を出す各お店の人達が店内の掃除をしている。

そんな飲食店の様を見ていたら、急にお腹がすいてきた。朝ごはんはまだ食べていない。家に帰って何か食べよう。
厚手のジャンバーのジップを下まで下ろし
私は踵を返した。



~Today's gear ~
    FUJIFILM X-E4
    Pergear 25mm F1.8


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