【読書記録】侍留啓介『新・独学術』

 私はコミュニケーションが非常に苦手です。
 具体的には、
 ①:自分の言いたいことを上手く整理して伝えることができない
 ②:相手の考えていることが分からず、一方的に話してしまう 
 ③:相手から質問を受けるとフリーズしてしまう
 以上3つの点で、特に会社でのコミュニケーションに苦戦している状況です。

 そんな私は論理力を身につけたいと常に思っています。
 ところで論理とは何でしょうか?
 手元にある『明鏡国語辞典 第二版』には、次のような記載があります。

 ろんり【論理】
 ①思考の法則・形式。思考や議論を進めていく筋道。
 ②ある事物間に存在する法則的な筋道。

 まとめると、論理力とは『思考や議論を進めていく筋道を立てられる能力』といったところでしょうか。この能力があれば、コミュニケーションに苦労は少し減るかもしれません。では、一体どのようにすれば、論理力は身につくのでしょうか?

 今回読んだこちらの本では、論理力を身につけるには、大学受験レベルの現代文と小論文の勉強が有効であると出張しています。

 何故現代文の勉強が論理力を身につけることになるのか。
 なぜなら、現代文とは、文章の意図や著者の思考を客観的に理解するための科目であるからです。現代文を学習することで、論理とはどのようなものかを理解し、論理的に考える力を学ぶことが出来ます。
 加えて、現代文は与えられた情報だけで筆者の言いたいことを判断する科目でもあります。現代文で求められているのは、問題文に書かれている主張を読み解いて、いかに論理的に説明できるかということです。現代文でトレーニングを積むことで、与えられた情報の範囲で論理的に考えることができます。すると、会話の相手の情報を正しく理解して整理することができるようになります。

 ところで、仕事では、「Why」「So what」の2つの思考が重要視されます。「Why」の思考は理由を聞くための問いです。ビジネスの現場では、一つの事象に対して、具体的かつ説得力のある理由を求められる場面が数多くあり、そこで「Why」の思考が重要となります。また、「So what」の思考は結論や結果を聞くための問いです。こちらは、例えば報告を受けた場合に、結論は一体どういうことなのかを導き出す上で重要になります。

 実は、現代文の設問は、「なぜそうなるのか?」「どういうことか?」という2大設問で成り立っています。前者は「Why」に対応し、後者は「So what」に対応しています。すなわち、現代文の問題を解く力というのは、ビジネスシーンで求められるスキルを近似しているのです。

 例えば、「どういうことか?」という問いは具体的な文章を抽象化したり、あるいは逆に、抽象的な文章を具体化させることが目的になります、この思考は仕事の場面において、具体的な作業を抽象的にとらえることで、仕事の質を高めたり、反対に抽象的な指示を具体的な内容に落としこむことに役立ちます。

 また、「なぜそうなるのか?」という問いでは様々な事象の原因と結果を論理的に検討する訓練をすることができます。

 以上から、現代文の勉強が論理力を高める訓練となることはわかりました。では、小論文の勉強はどのような点で役に立つのでしょうか?

 その答えは、小論文の勉強は、自らの主張を、説得力を持って相手に伝えるトレーニングとして効果的であるためです。小論文は多くの場合、課題文が提示されて、それを読んだ上で、自分なりの論を展開していく作業になります。この作業を通じて、要約力が養えるとともに、独自の視点を見つけ、説得力のある論を展開させていく力が養えます。特に独自の視点を見つけることを意識する上で、「そもそもの視点」が身につきます。これは日々のビジネス上の問題を考えるうえでも役立ちます。

 更に小論文の勉強では、模範解答を読むことも勉強になります。その理由は2つあります。

 ① 問題解決の手法を3ステップで身につける
  小論文の模範解答は「問題提起」「主張の明確化」「理由付け」の3ス
 テップで書かれています。これはビジネスでも使われる問題解決の手法で
 あるため、小論文の模範解答を意識して読み、自分なりに理解することで
 ビジネスで使える問題解決の型が身につきます。

 ② 現代社会の課題と解決策を知る
  小論文で取り扱われるテーマはメディアで頻繁に取り上げられるテーマ
 でもあります。模範解答を読み込むことで、ニュースで取り扱われる内容
 について深い洞察を得ることができます。

 この本はあくまで勉強法について書かれた本であるため、この本を読んで、実際に勉強しないと論理力は身につきません。早速現代文の勉強から始めようと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?