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牛糞と鐘撞・大富豪とマグロ丼

カレーは人間を利用して繁殖している。そしてその繁殖に利用されている人間が僕、ってわけ。

せっかく毎日インド料理漬けの生活をしているので、可能な限り東京マサラ部室での暮らしを描き、記録に残しておくことにする。カレーを中心に起きた出来事や考えたことをカレー哲学の視点で記していく。毎回1000〜1500字くらい。

牛糞と鐘撞・大富豪とマグロ丼

2022年の終わりはインド29州の料理を一通り作ってから、穏やかに牛糞燃料を燃やしながら数人の友人たちと年を越した。

燃やすにあたって適切な台などがなかったので缶ビールを切り開いたらなんとなく山椒小鉢のようであった。牛糞は千葉県いすみ市の牧場で特別に作ってもらったグラスフェッド牛の糞なので燃やすとよもぎのような香りがする。何も知らなかったらお香だと思うかもしれない。

でもこれ、うんこの香りですよ。

年越しの瞬間は「ゆく年くる年」の映像を観ていたのだが、中心人物と思われる集団の中で最も位の高い僧がそーれ!と掛け声をかけると一斉に取り巻きの僧侶達が動き、位の高い僧の身体が浮く。彼は縄に全体重をかけて、公園のロープを使った遊具で遊ぶ幼児のような体勢でオーバーヘッドしながら勢いよく鐘を突いていた。突きまくっていた。それを何遍も何遍も繰り返しており何かに取り憑かれているようにも見えた。

没頭、は気持ちいい。荘厳な顔とアヘ顔の差分は紙一重かもしれない。彼はこの世の誰よりもその状況を楽しんでいるように見えた。日本中が注目する年に一度の鐘撞きライブ中継なのだから無理もないが。

朝起きたらまずは冷蔵庫の料理減らしに努めた。インド全州の料理を作ったので、それにしてもすごい量だった。カレーたちは気を抜くとすぐに増えるから油断せずに、こまめに頭を叩くのが肝心。

食べていたら一度帰ったなますてクッキングから電話が来た。

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