見出し画像

インドの各地域ごとの食事を比較しながら作って楽しめる『インド料理100のレシピ集』をつくります! #レシピ

東京マサラ部は「日本にインドをつくる!」をビジョンに掲げ、インドやインド周辺国の料理を3年間作り続けてきました。レシピが溜まってきたので、インド各地の地域別のセットミールを比べて食べられるレシピ集をまとめます。

カレーシェアハウス「東京マサラ部室」を立ち上げてから、研究テーマを決めて料理をつくり、インド亜大陸の仮想的な旅を続けてきましたが、ここらへんで活動の一旦の区切りとしてレシピ集をつくります。

東京マサラ部のnote上にレシピを一つずつアップしていき、溜まったらKindleにまとめ、紙の本も需要に応じて作るつもりです。最終的には出版社からレシピ本を出せたらいいなあ...(願望)。

レシピのアウトプットはこちらに集約させ、カレー哲学のnoteにはレシピ以外のことを書いていきたいと思います。

毎日一つずつレシピを放出していき、最終的にまとめられるのは来年の夏頃になるかと思います。レシピ本のご連絡希望の方はこちらのフォームよりご登録ください。完成のタイミングで改めて連絡させていただきます。ご支援も受け付けてます!


どんなレシピ本になるのか

インドの中から17の料理区分プラスαをピックアップし、セットミール形式で作れるよう100のレシピを幅広く取り上げていきます。作り方だけでなく背景情報や専門家へのインタビューなども収録していきます。単にそのレシピを取り上げるだけではなく、それがどんな料理なのかも解説していきます。

レシピの前提

・スパイス類以外は特殊な食材はなるべく使わない。日本で入手でき代替可能な食材がある場合はそちらを使用し、何の代替なのか明記する。
・あくまで家庭に一般的にある調理器具で作れるようにする。
・調理手順各工程の意図によってはインド現地の製法そのままにはしない。インドに倣いつつも合理的に変更する場合がある。



レシピサンプル

Kashimiri mini thali / Rista・Rogan josh・Goshtaba・Haakh Saag・Kabab

カシミール料理/羊と乳製品メインの寒地料理

インドの最北地にあるカシミールはかつてムガル皇帝ジャハーンギールの避暑地で、今でも夏に涼をとれる観光地。冬は寒すぎて野菜が手に入らず、昔は干し野菜を食べていた。カシミールチリという唐辛子や、パキスタンとインドの紛争地帯として名前を聞いたことはあるのではないだろうか。

主食は米で、寒冷な気候もあり羊肉(インドの他の地域ではヤギが多いが、カシミールは羊)が食べられ、ヨーグルトやギーをたくさん使う。カシミール渓谷には後述する理由で西方から移住してきたムスリムが多く、ペルシャ料理、中央アジア料理、アフガニスタン料理からの影響が強い。

宗教はイスラム教徒が多数。ヒンドゥーはKashmiri Panditというバラモン(僧侶階級)が多く、基本的に肉を食べる。どちらかといえばもともとはインド全体では肉食が普通だったのが、菜食主義がナショナリズムの高まりとともに広がってきた中、カシミールは地理的な隔絶によって変化に取り残されたということらしい。panditはギー、ヨーグルト、ヒング、ドライジンジャーパウダーを多用し、玉ねぎ、にんにくは不使用のレシピが多い。

イスラム教徒の料理としては肉づくしのワズワーンが有名だが、ルーツは中性に遡る。14世紀のティムールによる侵略によりカシミール渓谷に多くの職人が逃げ込んだ。移住した職人一族の中には料理人の集団もいて、後に「ワザ」と呼ばれることになった。職人の家計は代々続いており、ワズワーンの詳細レシピは秘匿されている。結婚式や祭事の依頼があるとやってきて、歌いながら一族郎党で肉を木槌でたたきまくり、一晩かけてたくさんの料理を作る(歌いながら作業をするのは、ひき肉を使うのに時間がかかって苦痛で仕方ないからだろう)。

36種類の料理が用意され、最後にグシュタバで締めくくるのが正式なワズワーンの形式だという。木槌で肉を叩いていくと表面がつるつるな仕上がりになり、ひき肉というよりはかまぼこのような弾力のあるミートボールに仕上がるが、現実的にはミンサーやフードプロセッサーを使うか、ひき肉を購入するのがおすすめだ。

肉団子料理に使う肉を作るために今回はワズワーン親方に肉を叩いてもらいました。1kgのマトンをハンマーで叩いてひき肉にするのに2時間以上かかり、やがて苦痛のため歌を唄い始めました。ワズワーンたちの気持ちをトレースできたといえるでしょう。

①Rista(サフランの香りのミートボール煮込み。ストイックスタイル)

リスタはワズワーンの中で欠かせない一品で、ミートボールの赤い煮込み。マトンでつくられることがほとんどだがチキンでつくられることもある。辛さがマイルドなカシミールチリの赤みとサフランの香りが際立つ。今回のレシピは玉ねぎにんにく不使用のため、実質肉団子のスパイス汁煮込み。

柔らかい肉を使い、脂肪分を多くすれば表面はもっとつるつるになる。

材料
肉団子:
ラムひき肉(理想的には10%~15%の脂肪やバターを混ぜると柔らかくなる)400g
塩 小さじ2
カルダモンの中身のみ 1粒分を粉に挽く
ブラックペッパー 4粒分を粉に挽く

チリペースト:
カシミールチリ 5本を浸水しておく

ホールスパイス類:
ブラウンカルダモン1
グリーンカルダモン3
クローブ2
ブラックペッパー7

パウダースパイス類:
ターメリックパウダー 大さじ 1/2
ドライジンジャーパウダー 小さじ1
フェンネルパウダー 小さじ1

仕上げ:
サフラン  2つまみ

その他:
ギー大さじ1
水1ℓ

作り方
・カシミールチリを50ccのお湯に30分以上浸し、ふやけたらミキサーでペーストにする。
・サフランは30ccほどの少量のお湯を使い、軽く煮出して色をだしておく。サフランの色素は水溶性。
・叩いてひき肉を作るか、フードプロセッサーでひき肉を作る、もしくは購入する。肉に塩と挽きたてのカルダモンパウダー、ブラックペッパーを混ぜながら捏ね、粘りがでたら手を水で濡らしながらゴルフボール大の肉団子に丸めていく。
・鍋にギーを加熱し、ホールスパイス類を軽く炒めたら水1リットルとパウダースパイス、カシミールチリのペーストを入れ火にかける。沸騰したらミートボールを入れ、蓋をして弱火で10分煮る。固くなるので煮すぎないこと。
・仕上げに煮出したサフラン水を入れ、さらに3分ほど煮たら完成。


ワンポイントアドバイス
・肉はラムじゃなくてマトンやビーフ、チキンなどの場合もある。禁忌だが牛豚合いびき肉も日本なら試してみる価値はあるかも…?
・肉質や脂肪の含有量にミートボールの柔らかさがかなり左右される。おすすめはラムに脂身を足し、叩いてひき肉にしたもの。叩く際は予め小さめの角切りにしてから木槌で叩こう。
・お好みでフライドオニオンペーストやジンジャーガーリックペーストを足すとグルタミン酸が追加され、食べやすい味に仕上がる。
・赤みをだすためmawalというケイトウの花やアルカネットの根、赤色の人工着色料などを使用する事が多いが、今回は色味は無視した。赤い色を出すために唐辛子を増やしすぎると苦くなるので注意。



収録予定の地域とレシピ100(数えたら100以上ありました)

※写真がある箇所は既に調理と収録は完了しています。
品数を減らし、家庭での再現とバランスを重視して組み合わせを考えています。近い組み合わせはあると思いますが、必ずしも実際にインド現地でこのような形式で食べられているというわけではありませんので、一例となります。

カシミール料理

Rista リスタ 【サフラン香る赤いミートボール煮込み】
Rogan josh ローガンジョシュ 【マトンの赤いヨーグルト煮込み】
Goshtaba グシュタバ 【ミートボールの白いギーヨーグルト煮込み】
Haakh Saag ハークサーぐ 【ほうれん草のマスタード風味】
Kabab カバブ 【串焼きスパイスカバブ】
Basmati rice 

コラプール料理

Tambda Rassa タンブララッサ【赤いマトンスープ】
Pandra rassa パンドララッサ【白いココナッツマトンスープ】
Mutton Sukha マトンスッカ【マトンのセミドライ炒め】
Kolhapuri chicken keema コラプリチキンキーマ【ごま香るコラプール風チキンキーマ】
Dahi Kanda ダヒカンダ 【ヨーグルトと玉ねぎのサラダ】
Chapathi

グジャラート料理

Chora nu shaak チョラヌシャーク【ロビア豆の煮込み】
Sev tomato nu shaak セブトマトヌシャーク【セブ(スナック菓子)のトマトベースカレー】
Kadhi カディ【ひよこ豆粉とヨーグルトのカレー】
Katthi meethi dal カッティ・ミッティーダール【甘くて酸っぱいグジャラート風ダル】
Thepla テプラ【メティ入り雑穀薄焼きパン】
Dhokla ドークラ【ひよこ豆粉のスポンジケーキ】
Pudina chutney プディナチャトニー【ミントディップソース】

西ベンガル料理

Shukto シュクト【優しくて丁寧なベンガル風ミルクシチュー】
Macher kalia マチェルカリヤ【ベンガル風、宮廷由来のフィッシュカレー】
Aloo bhujia アルーブジア【じゃがいものサクサク揚げ】
Niramish mangsho ニラミシュマンショ【玉ねぎにんにく不使用、神に捧げたマトンは野菜】
Masoor dal モシュルダール【シャバシャバのベンガル風ダール】
Palong bhaja パロンバジャ【ほうれん草と根菜のマスタードオイル炒め】
Basmati rice

タミルベジ料理

Sambar 【サンバー】具だくさんサンバル
Thakali Rasam 【ラッサム】トマトラッサム
Kara Kuzhambu 【カーラコロンブ】なすのスパイシータマリンドカレー
Masiyal 【マシヤル】さつまいものマッシュ
Pickle 【ピックル】青パパイヤのスパイスオイル漬け
Ponni rice

ナガランド料理

Pork with akhne  ポークアクニ 【ナガランド風納豆ポークカレー】
Chili tomato chutneyチリトマトチャトニー 【唐辛子とトマトのチャトニー】
Naga dal ナガダル 【発酵たけのこ風味のダル】
Akibeye アキビエ【里芋と小松菜の和え物】
Boiled vegetable ボイルドベジタブル【北東インド風煮野菜】
Sticky rice

ムンバイ屋台料理

Sev puri セブプリ
Pav bhaji パオバジ
Fried rice フライドライス
Pani puri パニプリ
Chicken kathi roll チキンカティロール

タミルノンベジ料理

Chicken uppu kari チキンウプカリ 【唐辛子のみを使ったチキンカレー】
Mutton kuzhambu  マトンコロンブ【タミル風ヨーグルトマトンカレー】
Kola urundai コーラウルンダイ【揚げマトンスパイスボール】
Lemon rice レモンライス
Chicken salna チキンサールナ 【ココナッツチキンカレー】
Parotta パロッタ

ゴア・ヒンドゥー料理

Hooman ホーマン 【魚出汁の効いたゴア風ココナッツカレー】
Sol kadhi ソルカディ 【冷製コカムスープ】
Rava fry ラヴァフライ 【セモリナ粉のフィッシュフライ】
Sukkem スッケム 【エビのセミドライ炒め】
Kismoor キスムール 【桜えびのココナッツふりかけ】
Sona masoori rice


マンガロール料理

Gulla bajji グラバジ なすのペースト
Fish pulimunch フィッシュプリムンチ 【マンガロール風魚の酸っぱ辛カレー】
Kadale manoli sukka カダレマノリスッカ 【カラチャナときゅうりの炒めもの】
Prawn ghee roast プロウンギーロースト 【エビのギーロースト】
Neer dosa ニールドーサ
Boiled rice


ケーララ料理 

Veg istew イストュー 【野菜ココナッツシチュー】
Beetroot thoran トーラン【ビーツの炒めもの】
Thengai chamandhi テンガイチャマンディ 【ココナッツチャトニ】
Uli theeyal ウリティーヤル 【シャロットのココナッツ焦がし炒め】
Inji puli インジプリ 【生姜のチャトニ】


アーンドラ料理

Mudda Pappu ムッダパップー 【シンプルなダール】
Chapala pulusu チャパラプルス 【アーンドラフィッシュカレー】
Vankaya vepudu バンカヤヴェプドゥ 【なすのピーナッツ炒め】
Ginger Tomato pachadi ジンジャートマトパチャディ 【トマトと生姜のペースト】
Anvakkaya achar アンバッカヤアチャール 【レモンアチャール】
Pulihora プリホラ 【タマリンドライス】


北インドムグライ料理

Beef nihari ビーフニハリ 【ムスリムのビーフシチュー】
Roghni naan ログニナーン【フライパンで簡単ナーン】
Chicken korma チキンコルマ
Nargisi kofta ナルギシコフタ 【スコッチエッグカレー】
Mutton rezala マトンレザラ 【宮廷風マトンカレー】


ビハール料理

Litti リッティー 【全粒粉ハードパン】
Baingan chokha ベイガンチョカ 【なすのディップソース】
Tomato chokha トマトチョカ【トマトのディップソース】
Chana ghugni チャナググニ【ひよこ豆の煮込み】
Dal pitha ダルピタ 【小麦生地入りダルスープ】
Ladoo ラドゥー【ひよこ豆のお菓子】


オリッサ料理

Dalma ダールマ【豆と野菜の煮込み】
Khira Santula キラ・サントゥーラ【ミルクベースの野菜カレー】
Kanika rice カニカライス【甘いスパイスライス】
Sago bhaja サゴバジャ【青菜炒め】
Chattu besara チャットゥべサラ【マッシュルームのマスタード炒め】


パンジャーブ料理

Sarson da saag サルサンダサーグ【カラシナペーストカレー】
Amritsari chole アムリットサリチョレ【アムリトサル風ひよこ豆カレー】
Paneer burji パニールブルジ【パニールのドライカレー】
Aloo paratha アルーパラーター【じゃがいも入りパラタ】
Gajar halwa ガジャールハルワ【にんじんのデザート】
Daal makhaniダールマッカニー【バターたっぷりダル】


ラージャスターン料理

Panchmel ki Dal パンチメルキダール【宮廷風ダール】
Baathi バーティー【砂漠のハードパン】
Gatte ki sabji ガッテ・キ・サブジ 【植物性ソーセージカレー】
Laal maas ラール・マース 【赤マトンカレー】
Chaas チャース 【硫黄感のあるヨーグルトドリンク】
Gajar achar ガジャールアチャール【人参のアチャール】
Bajira roti バジラローティー【雑穀のフラットブレッド】


ビリヤニ

Dindigul talakapatthi mutton ディンディッグルタラカパッティビリヤニKerala thalassery style fish タラッセリービリヤニ
Chinigura hajji biryani ハッジビリヤニ
Achari biryani chicken アチャーリービリヤニ
Birinji (veg) ビリンジ
Jadoh ジャドー(ビリヤニではないが)


ティファン類

Idly イドゥリ
Dosa ドーサ
Pongal ポンガル
Vada ワダ
Upma ウプマ
Tiffin Sambar ティファンサンバル
Chutney チャトニー
Podi スパイス豆ふりかけ


どうやって進めるのか

東京マサラ部noteで一品ずつ解説、材料、作り方、ワンポイントアドバイス入りのレシピをアップロード。
②同じタイミングで東京マサラ部のInstagramとTwitterでも料理の解説とともにポストしていく。
③各地域単位の解説をカレー哲学のnoteにまとめていく。
④並行して、カレーの哲学.com上にインド亜大陸料理図鑑・用語図鑑を作成していく。
⑤2024年12月:すべてのレシピをアップロードし終わったあと、修正や編集を加えてKindle版を公開予定。
⑥公開するタイミングで申し込みフォームから登録があった方に連絡。希望者には紙の冊子を販売予定。
⑦2025年1月以降、各地域の料理を実際に食べられるポップアップレストランを開始!


申し込みフォームはこちら

レシピ本ができたタイミングで、登録してくださった方にご連絡差し上げます!

金銭的なご支援も受け付けております。援助してくれた方を優先に、来年のどこかで抜粋したレシピを実際に食べられる会を開催予定です。応援してね。

ここから先は

0字

◾このメンバーシップについて 日本にインドをつくる。カレーとインド料理研究のためのオンラインコミュニ…

ガラムマサラプラン

¥999 / 月

いただいたサポートは全てカレーの材料費と東京マサラ部の運営資金となります。スキやSNSでのシェアもお願いします。 インド料理やカレーの本を出したいです。企画案がたくさんあるので、出版関係の方、ぜひご連絡ください。