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「戦場の精神史」を読んで。

 477回目です。φです。

 気温をニュースで確認すると、なんと京都38℃!すごいですね!体温越えです。

 猛暑に酷暑、毎年呼び名が増えているような気がしないこともないのですが、なんでしょうね…30℃で暑いね、と言える夏が戻ってくる日はあるのでしょうか。

 みなさんも暑さにはご注意を。私はうっかり室温33℃の部屋で料理をしていて、意識遠退きかけました。汗出ないと気づかないものでして…。

 さて、今日は私の読んだ本について書こうと思います。前から気になっていて、やっと図書館で発見できた本。多分ずっと借りられていなかったのだろうけれども、私が探すの下手すぎて見つけられなかった本です(笑)


 この本を読みました。「戦場の精神史」。

 なんかすごい高いですねお値段!2004年に発刊された本。

 私は武士道に興味があって、新渡戸稲造の本はバイリンガル用のものを持っています。なぜかページに黄色か緑か黄緑かの色が使われていて、見づらくて読めていません。

 何色なんでしょうね、あの本。黄色~緑って私にとってはちょっと判断が難しい色で、「なんか目に嫌な色」認定しかできません。この色系が好きな方、ごめんなさーい!

 新渡戸稲造の本ですが、少し読んでいると不思議な感じがするときがあります。新渡戸稲造って、日本文化に精通した人なのかな?って。

 彼はクラーク博士で有名な札幌農学校出身、それから世界に羽ばたいて「太平洋の架け橋になりたい」と言ったことでも有名です。日本文化ってそういえばどこまで知っているのだろう、と不思議になった。

 この「戦場の精神史」を読んでいくと、新渡戸稲造の書いた武士道についても触れられています。私の疑問は晴れました。どちらかと言えば、新渡戸稲造は「海外からの視点」で武士道を考えていたのだと書かれていて(私のふわっとした意訳ですので、詳しくは本でご確認を!)、「そういうことかー」と。

 この本、武士道のことを表現するときにワードとして「やくざ」「任侠」、とか出てきてなんだか笑ってしまいました(笑)

 まぁ確かに、「ボスのために!」とか「私の正義に背く!」とかで相手切っちゃうときあるし、命かけるし、そっち系かもしれない。そうやって考えたことはありませんでした私。すごく新鮮な視点をこの本で得ることができました。感謝。

 …とは言っても、私はやくざ系や任侠系のドラマや映画を観たことは全くないのですが…イメージです。人づてに聞いた感じのイメージでは、「武士道ってそっち系じゃない!」と、作者に同意しました。

 今とは価値観が違って、誰に使えるか、何のために生きるか、何を自分のコアとするか、とか全部異なる。もちろん人間だからこその共通した思いはあると思いますが、その違いが、武士道というものをどう現代人が捉えるかを変えると思います。

 現在「武士道」と言って想像されるものが、はたして実際に武士道が誰の心にも存在していたものとそっくりそのままなのかは誰も分からないけれども。私たちが「現代人の心の形態を書け!」と言われても、なかなか難しいのと同じ。現在を生きているからこそ書けないものもあると思う。私たちが過去になって、未来の人が私たちを評価して思想等を評価し、名前をつけるのだから。私はそう思います。

 さて、この本では他にも「そうなの?!」と私を驚かせることがたくさんありました。とっても面白かった!

 昔の武士、せこいことはせずに正々堂々一対一で名乗って勝負をして、恨みっこなしで…という高潔なイメージがありますが、そんなことはなかったそうで。

 2対1で敵を狙うし、はったりで勝とうとするし、策略で陥れることも騙すこともある。勝つためなら手段を選ばない、そんな言葉が当てはまることも多々あったそうです。意外。

 そういったことを知っていた当時の学者たちの言葉は重みが違って、日本は武の国だ、とかはっきり書いていて。私は歴史は好きだけれど、読む内容は偏っていると思う。学者たちに注目したことを書かれると、さっぱり分からなくて。彼らから見た歴史は、武士と言われる人たちを描いた歴史とは違うんだろうなぁ。今度読んでみよう。

 私はこの本は現代史の戦場の精神論を書いているのだと予想していたのですが、思ったよりもずっと古い時代の話でした。鎌倉室町がメイン。学者たちはそれ以降の方々だし、新渡戸稲造はもっと現代の人だけれども。

 この本に書かれている武士道や当時は士道と言われた精神論の歴史を読んでいくと、今に通ずるものがある。これからもなのかもしれない。

 なんというか、とても興味深い本でした。意外なこと、納得したこと、得たこと。歴史は側面を変えて見るだけで、まるで知らないものに出会っているように感じます。歴史に正解はないけれど、視点によって本当に姿を変える。どっちが本当かは分からないけれど。どちらとも本当かもしれないし、どちらとも本当ではないかもしれない。

 歴史を変わって視点で見てみたい方におすすめです、この本。私は学者たちの歴史をこの本で知りたくなったし、今までの「武士って潔いなぁ…」という思いが若干飛んでいきました。彼らも人間でした(笑)

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