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【イベントレポート】事例で学ぶ!エンジニア組織文化を作る採用・評価の仕組み

こんにちは、広報の上島です。
PharmaXでは、2023年1月より月1ペースでテックイベントを開催しています。

6月は「医療系スタートアップのLLMへの取り組み・事例紹介」というテーマでディスカッションしました。
(前回のイベントレポートもよろしければご覧ください)

7月のテーマは「事例で学ぶ!エンジニア組織文化を作る採用・評価の仕組み」

近年、エンジニアの採用がますます困難になっています。
さらに強いエンジニア組織を築くためには、技術力のあるエンジニアを集めるだけではなく、組織文化を形成し、維持することが不可欠です。

そこで、ユーザベース社、カオナビ社、PharmaXの3社で、エンジニア組織の文化を育むために、特に採用・評価まわりでどのような工夫をしているのか、また失敗談とその後の取り組みについて、実例を交えたディスカッションを行いました。

今回は、ディスカッションの中でどのような議論が交わされたのかをお伝えします!
(お時間がある方はアーカイブとあわせてご覧ください)


今回の登壇者とLT紹介

では、今回の登壇者・モデレーターのご紹介と各企業のLT資料をご紹介します。

株式会社ユーザベース NewsPicksプロダクトチーム VPoE (mobile) 石井 幸次さん

2003年にサーバーサイドエンジニアとしてキャリアをスタート。ECサイト・パッケージソフト・基幹システムなど様々なプロジェクトでアーキテクトとして参加。その後、C向けサービスに10年従事し、その中で2010年よりスクラム開発を3社で導入実践。ベンチャー企業でiOS/Androidの開発チームを組成し、テックリードとしてIPOに貢献。2019年10月にNewsPicksにジョイン。Enterprise Productチームのエンジニアリングマネージャーを経て現在はVPoE (mobile)として活動。著書に「基礎から学ぶFlutter」。

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LTタイトル:50回面接して学んだ強い技術者チームを作る採用とオンボーディング

過去、私は内定者と組織文化の不一致から、お互いに不幸な状況に陥る採用をしたことがありました。この出来事は、人手不足を解消したいという切迫感から、面接時の些細な懸念を見逃して(気づかぬふりをして)しまった結果でした。しかし、私たちはその経験を克服し、多様性のあるメンバーを集めることができました。彼らは多くの挑戦をし、自己組織化した最高のエンジニアチームとして活躍しています。今回の登壇では、私たちの採用時の知見と効果的なオンボーディング手法についてお話しします。


株式会社カオナビ CTO 松下 雅和さん

早稲田大学社会科学部を卒業後、SIer2社を経て株式会社サイバーエージェントに入社。ゲームやコミュニティサービスの開発に携わる。その後、株式会社トランスリミットにて海外向けのアプリゲーム開発にCTOとして従事。累計数千万ダウンロードにもなるゲームの基盤を支えてきた。2020年2月にカオナビに入社し、様々なプロジェクトの開発を支援。同年9月にCTOに就任。

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LTタイトル:成長し続けられるエンジニア組織を目指して

カオナビでは、週2時間の自己研鑽タイム『スナバ』、隔週開催のエンジニア勉強会『カタリバ』、月イチの書籍購入支援『ホンダナ』など、エンジニアの成長を促す様々な制度を提供しています。こうした取り組みは、エンジニア組織の強化だけでなく、一人ひとりの主体性の向上やエンジニア同士が助け合えるカルチャーにもつながっており、ひいては優秀なエンジニアの採用にもつながっていると感じています。 このテーマでは、エンジニア組織で行ってきた様々な取り組みについてお話します。


PharmaX株式会社 取締役・エンジニアリング責任者 上野 彰大さん

東京大学農学生命科学研究科卒業。大阪府堺市生出身。新卒でIGPI(経営共創基盤)に入社し、2018年12月にPharmaX株式会社(旧・株式会社YOJO Technologies)を共同創業。全社戦略、エンジニアリング責任者。趣味でエンジニアリング勉強会を数年続けている。得意なのは、統計、機械学習、データ分析。
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LTタイトル:創業初期から創るスタートアップエンジニア文化

PharmaXは、オンライン完結で医薬品を購入することが可能なオンライン薬局を運営するスタートアップです。PharmaXの強みは、エンジニアや薬剤師が共同して、プロダクト開発する体制を築いていることです。これらの文化は、創業初期から様々な工夫で作り上げて来ました。
また直近では、先進的な技術も取り入れ、より強固なエンジニア文化を築いていくための取り組みも活発に行なっています。 スタートアップで創業初期からエンジニア文化を創り上げるためにどのような工夫ができるのかの事例をシェアできればと考えています。


PharmaX株式会社 エンジニア 古家 大さん(モデレーター)

ニフティ株式会社にてベトナムのオフショア開発のマネジメントを経験後、フリーランスとして独立。ITスタートアップを中心に複数社のサービス開発に携わる。 「医療者と患者さんの日常を繋げたい」という想いが合致し、参画。当社では開発生産性が高く、強いエンジニアリング組織作りにチャレンジ中。

採用したエンジニアに入社後、期待通りにワークしてもらう上でのGoodPractice・Bad Practiceについて

今回のパネルディスカッションでは、大きく2つのテーマで各社にお話を伺いました。

まず1テーマ目は「採用したエンジニアに入社後、期待通りにワークしてもらう上でのGoodPractice・Bad Practiceについて」。

新しく入社したエンジニアメンバーに対して、期待通りにワークしてもらうために意識していることとして3社共通していることは「コミュニケーションの活性化」
では、具体的にどういった点を意識してコミュニケーションを活性化し、関係構築しているのでしょうか。各社の声を紹介します。

期待通りにワークしてもらう上で、自社で行われている取り組み

まずはNewsPicks石井さんにお話を伺いました。

NewsPicks石井さん:
入社したエンジニアの方に期待通りにワークしてもらうために、コミュニケーションの促進をメインに取り組んでいます。
例えば、月一ペースで他のチームとシャッフルランチ(ランチ代支給)や他のチームのメンターによる週一の1on1を通じて他のチームメンバーの紹介をしています。また、バーチャルオフィス(gatherを使用)でいつでもメンバーと話がしやすい状態を作っています。


カオナビ松下さんは、LTの中でもコミュニケーション活性化するための取り組みを紹介いただいています。
その中でもこだわっていることについてお話いただきました。

カオナビ松下さん:
私たちは「オンボーディングをいかに仕組み化するか」をこだわっています。
具体的には、Slackのワークフローやエンジニアのオンボーディングフローを用意しています。
入社すると、Slackでローカルの開発環境やSlackの入ってほしいチャンネル、Confluenceの見てほしい箇所などの情報が一通りフォーメーションで飛んできて、手順どおりやっていくとカオナビで必要な開発情報が集まる仕組みです。
そこから具体的に細かい部分については、各ページを確認するようにうながしています。

この仕組みは「秘伝のタレ」のようなもので私が入社した時にはあり、そこから少しずつ改善をくり返して今の形になっています。


PharmaX上野さんからも、ツールの活用やオンボーディングのやり方を試行錯誤していることをお話いただきました。

PharmaX上野さん:
私たちは、「Around」というビデオ会議ツールを使っており、オンラインでビデオオンにしてつながっていることで、同じ空間でいつでも質問しやすい環境を作っています。お互いの表情を確認できることはとても良い点です。

また、オンボーディングのやり方では、入社後1週間、私と行動を共にしてもらうことを試してみました。

特に私たちのようなスタートアップでは、早い段階で会社の方向性やどこで悩んでいるかなどをきちんとインプットすることは重要だと考えています。
ミーティングにも参加してもらい、都度補足をすることで、負荷は高いけれど集中してオンボーディングすることはコスパもよいのではないかと思い、今後も続けていく予定です。

新メンバーの1on1担当者はどのように決めているか

続いて、新メンバーと密にコミュニケーションを取っていくために、メンター的な役目を担当する方をどのように決めているのか、カオナビ松下さん、NewsPicks石井さんにお伺いしました。

カオナビ松下さん:
入社後はチームに入っていただくため、チームリーダーであるテックリードと普段からコミュニケーションを取ってもらうようにしています。

また、それぞれのグループのマネージャーとも定期的に1on1をしてもらっています。
場合によってはエンジニア出身ではないマネージャーもいるため、技術面の支援やキャリアについては、その方のグレードに応じた形でCTOである私やVPoE、EMが定期的に1on1を担当し、不安を取り除くような動きをしています。

NewsPicks石井さん:
チームリーダーが1on1を担当しており、ほとんどの人が1on1スキルを研修の場などで訓練しています。
1on1では、相手のやりたいことや得意なことを把握して、早めに実践できるよう計画を作っています。

また、先輩エンジニアが毎日チェックポイントで話す機会を設けたり、チームメンバー内で1on1をしたり、他チームのメンターが1on1したりといろいろと取り組んでいます。

NewsPicksの「3つの視点」と似ているのですが、1人よりも複数の視点でいろんな角度から話をすることを大事にしています。


コミュニケーション活性化によるエンゲージメントや心理的安全性の確保へのリソース配分

3社ともに日々の業務で忙しい中で、メンバーとのコミュニケーションを大切にしていることがわかります。ではどのくらいリソースを割いているのでしょうか。
PharmaX上野さんとカオナビ松下さんにお話を伺いました。

PharmaX上野さん:
全体の割合でどのくらいというよりは、チーム単位でリソースを割いています。
例えば、2週毎に1on1をやったり、週1で全体での進捗の振り返りの場を設けたり、月一で全体の目標を振り返るようにしてコミュニケーションをとっています。
月一の振り返りの後にはエンジニアチームのぶっちゃけ飲み会を開催していますが、いろんな話ができて結構続いていますね。
また、定期的に勉強会をチーム内でわいわい言いながら楽しく開催しています。

Slackのtimes(分報)も運用していますが、人によって投稿もまばらなので、お二人のお話を伺いながらどうすれば活性化するのかこれから考えたいなと思いました。

カオナビ松下さん:
それぞれのチームに関してはスクラムで開発をしているチームが多いため、普段のデイリー朝会や振り返り、週一のコーヒーブレイクなどでコミュニケーションを取っています。
チーム単位、グループ単位でやっているため、比較的コミュニケーションの場は多いように思います。

私自身はチームに所属していないため、他と比べると正直なかなかコミュニケーションを取れない状況です。いろんなメンバーの分報などに飛び込んで会話をしたり、Slackのハドルを常時開きっぱなしにして、誰でもいいので話しましょうなどとやっています。
CTOという立場になって、なかなか話しづらいと思われたら嫌だなと思ったため、「なにか困ったらいつでも相談してね」と手が空いた時には、なるべくみんなとのコミュニケーションに割くようにしています。

優秀なエンジニアが集まる開発組織における共通の文化とは

2つ目のテーマは「優秀なエンジニアが集まる開発組織における共通の文化」についてディスカッションしました。

3社ともに共通しているところは「チャレンジできる環境」を提供していること。
では、具体的にチャレンジしやすい文化を作るために工夫していることや、どのように評価に組み込んでいるのか、各社の声を紹介します。

大切にしているチャレンジを推奨する文化とは

まずは、優秀なエンジニアが集まる開発組織にするために大事にしている文化について、NewsPicks石井さん、カオナビ松下さんにお伺いしました。

NewsPicks石井さん:
ユーザベースでは、「やりたいを発信できる文化」と「技術的にチャレンジを推奨する文化」、「開発者体験の向上する文化」を大事にしています。

エンジニアは、いろんな会社でも活躍できるぐらいの実力がないと、事業をうまく成長させられないのかなと思っています。やりたいを発信したり技術的にチャレンジしたりすることにやりがいを感じる人の方が、自ら勉強もしますし事業にコミットしてくれるように思いますね。

カオナビ松下さん:
カオナビではボトムアップからの主体的な提案を大事にしています。
例えば、2人が必要なものや妥当なものと判断できることが前提として、しっかり論理的に考えたうえで「これいいね」と判断したものについては、ボトムアップでやってもいいよという文化になります。

GoやReactの導入については、それぞれに特化したメンバーが「今の会社には必要」だと判断してボトムアップで導入を決めました。
こういった文化は、引き続き大事にしていきたいと思っています。

技術的なチャレンジやエンジニア文化を強化する活動がどう評価に紐づくか

続いて、技術的なチャレンジやエンジニア文化を強化する活動が、会社の評価にどのように組み込まれているのか、それぞれにお話を伺いました。

PharmaX上野さん:
私たちは、既存事業に影響がないように切り出して、アーキテクチャを変えたり新しい技術に作り変えたりしています。
直近では、LLMのPoCを事業と切り離してやっています。

このような活動が、エンジニアチームの価値観である「エゴから発展させよう」や、全社の価値観である「歴史を拓く」「智の創発」につながっていくため、ミッションバリューを体現していると評価するようにしています。

NewsPicks石井さん:
ユーザベースで大事にしている「7つのバリュー」のうち、「迷ったら挑戦する道を選ぶ」「自由主義」の2つがあります。
これは技術選定でも同じで、自分で選択した技術を最後まで責任をもってやれているかどうかも評価の対象になります。

また、挑戦を外部発信することも評価の対象です。
これらのことはすべて明文化されており、普段から参照するようにしています。

7つのバリューのほかに、会社として明確に「コンピテンシークライテリア」というものがあり、Edge(技術), Execution(実行力), Valueの三つの観点で細かく明文化されていています。(キャリアラダーに似ています)

実際にバリューを体現したことは、すぐにその場で伝えることもあれば、360度フィードバックなどの評価のタイミングで伝えるようにしています。また毎週の振り返りのタイミングで「こういう行動よかったよね」という声がメンバーからあがっています。
また360度フィードバックでは、コンピテンシークライテリアをもとにさらに上のタイトルへ行くために必要なことをお互い伝えるようにしています。

カオナビ松下さん:
エンジニアの場合、インディビジュアルコントリビューター(IC)とテックリード・EMのキャリアパスを用意しています。

最初に、各メンバーに自分の中で目指しているキャリアの割合を決めてもらい、どこに重点を置くかを表明してもらいます。
その後半年を通じて、実際にテックリードの人はテックリードの割合が多く、EMの人はEMの割合が多くなっていますね。

中には、テックリードをしながらEM的な活動を今後目指したい人もいます。
その場合は、少しずつ割合を増やしてもらいながら、1on1などを通じて具体的にどんな行動をするとよいかを話し合い、評価時にその結果がどう結びついたかを評価軸に入れていくような取り組みをしているところです。

まとめ

エンジニア組織の規模やフェーズの異なる3社によるディスカッションでしたが、共通している点がいくつかありました。

  • コミュニケーションの活性化のための工夫

    • 特に定期的な1on1を行い、相談しやすい環境を整えている

    • オンボーディングの仕組みでコミュニケーション取りやすくしている

  • チャレンジできる環境を提供

    • 日頃の行動やバリューを体現しているかどうかを評価に結び付けて評価

ぜひ、みなさんも優秀なエンジニアが集まる組織文化を作っていくために、できることから試してみてください。

今回ご登壇いただいたNewsPicks石井さん、カオナビ松下さん、各社関係者のみなさん、ありがとうございました。

お知らせ

8月は「リアルな事例から学ぶ!大規模システムリプレイスの裏側」というテーマでイベントを開催いたします。

株式会社Mediiさん、株式会社カラダノートさん、PharmaXの3社で、限られたリソースの中でリプレイスを経験した時を振り返り、どのような意思決定をしたのか、また今後の技術的な狙いについて発表する予定です。

当日は、各社のリアルな声がたくさん聞ける機会となっておりますので、ぜひご参加ください!

最後に

私たちとともにオンラインを中心とした新しい医療体験を一緒に作ってみたいと思った方、もっとPharmaXについて知りたいと思った方はこちらを覗いてみてください。
まずは気軽にお話しましょう!

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